春男 発生した汚染水は原子炉建屋の地下にたまっているわけだね。
あやめ 原子炉建屋の地下だけじゃないの。隣接するタービン建屋の地下にもたまっている。原子炉内の水を注入していない4号機の地下にもたまっていて、3号機の地下から流れ込んでいるとみられているのよ。
春男 そうなんだ。
出続ける放射能
あやめ 地下の汚染水には、放射性セシウムが1立方センチメートル当たり1万ベクレル、ストロンチウム90なども1万ベクレル含まれていて、とても危険なのよ。
春男 放射能が出続けているんだね。
あやめ だから東京電力は、汚染水をくみ上げて、セシウム除去装置へ送って、放射性セシウムなどを減らす処理をしているの。これをさらに淡水化装置で塩分を除去して淡水にする。
春男 地下貯水槽から漏れたのは?
あやめ 淡水化の時に発生する廃液が濃縮塩水といわれていて、ストロンチウム90などの放射性物質が濃いままなの。これを鋼製の地上タンクや問題になっている地下貯水槽に保管していたわけよ。
春男 汚染水に塩分が含まれているのはなぜ?
あやめ 東日本大震災のときに原発を襲った津波の影響や、原子炉を冷やすために海水を注入したからとみられているの。
春男 そうだった。思い出したよ。
あやめ それで、淡水化した処理水はタンクにためて、ふたたび原子炉へ戻して冷却に使っているわ。そうやって水を循環させているわけね。
地下水汚染心配
春男 くみ上げて原子炉に戻すまで、ホースの長さが約4キロメートルもあるというね。ホースなどで水漏れが繰り返し起きていたね。でも、循環させているなら量は増えないと思うけど、増え続けているのはなぜ?
あやめ 原子炉建屋やタービン建屋の地下に、周囲から地下水が日に約400トン、小学校のプール1杯分くらい流れ込んで、原子炉内から漏れ出た汚染水と混ざっているからよ。
春男 でも、どこから地下水が入っているのか分からないそうだね。地下水を汚染していないか心配だよ。
あやめ ええ。それもあって東電は、地下にたまっている汚染水の水位が地下水の水位を上回らないように調整しながら、くみ上げているのよ。
春男 くみ上げ続けないと、地下水を汚染してしまうわけだ。
あやめ 水の流れを図に描くとこんな感じになるんだけど、汚染水をくみ上げて処理する限り、タンクの増設が必要になるの。
春男 腰をすえたとりくみが必要になるわけだね。(つづく)