東京電力は4月27日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の地下貯水槽周辺に設置された観測孔で採取した水から放射性ストロンチウムなどが含まれていることを示す「全ベータ」(注)が検出されたと発表しました。貯水槽から漏れた汚染水が周辺に広がっていることを示している可能性があります。
東電によると、観測孔22カ所で26日に水を採取して放射性物質の検査をしたところ、13カ所で全ベータが検出されました。最大値は1立方センチメートル当たり0・048ベクレルでした。それ以外の場所も値は全て検出限界(同0・03ベクレル)を少し上回る程度だとしています。
同じ水を再分析したところ、全ベータが検出されたのは2カ所となりました。
1度目の分析で全ベータが検出されて、2度目で検出されなかった箇所があったことについて東電は、濃度が検出限界値前後で変動しているためとみています。
福島第1原発では、地下貯水槽にためた高濃度放射能汚染水が外側へ漏れだして問題になっています。周辺環境への影響を調べるため、東電は地下貯水槽の周りに観測孔を新しく掘り、監視を始めていました。15日に水の採取、分析を始めて以来、初めて全ベータが検出されました。
(注)「全ベータ」・・ 放射線の一つであるベータ線の総量のこと。福島第1原発
の汚染水に含まれる全ベータは大部分が放射性ストロンチウム由来です。