東京電力福島第1原発(福島県双葉町、大熊町)は「収束」どころか、事故の真っただ中にあります。1~3号機がメルトダウン(燃料溶融)事故を起こしてから2年以上たっても、壊れた原子炉内から極めて高濃度の放射性物質を含む汚染水が出続けており、管理を誤れば、大量の放射性物質が外部に出かねない状況にあります。
第1原発では、事故で溶け落ちた核燃料を冷やすために原子炉内に水を注入し続けなくてはいけません。しかし、原子炉圧力容器や、それを入れる格納容器が壊れているため、注入した水は放射性物質を溶かし込みながら流出しています。
発生した汚染水には、1立方センチ当たり数万ベクレルのセシウム137(放射能の量が半分になるのに要する期間は約30年)などの放射性物質が大量に合まれており、その総量は、事故で大気中に放出された量の10倍になります。
東電は、この汚染水から放射性セシウムを減らすなどの処理をして、再び原子炉の冷却に使っています。しかし、原子炉建屋地下や隣接するタービン建屋地下などに地下水が1日平均400トン流入しているため、汚染水の量は増える一方です。
現在、汚染水は1~4号機原子炉建屋地下などに9万4000トンたまっているほか、大小900以上の地上のタンクにすでに30万トンあります。合わせて40万トンに迫ります。小学校のプールの1000杯分です。
タンクの代わりに入れた地下貯水層から汚染水漏れが発覚し、東電のずさんな対応が浮き彫りにさえなりました。
今後のタンク増設計画は見通しも不透明です。具体化されているのは40万トン分まで。2年後に70万トン「までつくることにしていますが、用地確保のため敷地内の森林伐採などを進めてはいるものの「具体的な数字が見込まれてはいない」と説明しており、めどは立っていません。
こうした対応の背景には、いずれ海に放出する意図があります。
東電は汚染水が増える原因になっている地下水の流入を抑えるため、井戸を掘って地下水をくみ上げ、海に放出する計画ですが、風評被害などを懸念する地元の漁業関係者などの理解は得られていません。上流側に遮氷壁を設置することになりましたが、うまくいっても完成は2年後です。
福島第1原発の現状は、原発推進路線の破たんを示しており、安倍政権が狙う原発再稼働など論外です。
(原発取材班)