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安全より再稼働優先 電力4社、「効率的審査」迫る・・5原発10基 規制委に申請

原発の新規制基準が7月8日に施行され、北海道、関西、四国、九州の4電力は同日、5原発10基について、再稼働の前提となる新基準の適合審査を原子力規制委員会に申請しました。申請のために原子力規制庁を訪れた各社の幹部は「効率的に審査を」などと、原発再稼働を進める安倍自公政権のもとで、前のめり姿勢を強めています。

申請したのは、北海道電力泊原発1~3号機(北海道泊村)▽関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)▽同高浜原発3、4号機(福井県高浜町)▽四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)▽九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)。

各社が提出した申請書では、想定する地震の揺れ(基準地震動)はいずれも3・11以前と変わりません。また、多くの原発は、新基準で求めている事故時の緊急時対策所も未完成で、代替施設で対応するとしています。北電は、想定する津波の高さ(基準津波)は詳しい計測の結果、最大で海抜9・8メートルから同7・3メートルに下がっています。

新基準自体が、電力会社の言い分で次々値切られ、「世界最高水準」などとは程遠い内容になっているのに、施行前に基準を満たさない大飯原発3、4号機の継続運転が認められたことから、電力会社の規制委を見くびった姿勢が目立ちます。

4社の幹部が申請書類を提出後、記者会見。北電は、「冬前に1台でも再稼働できれば」と、3基のうち泊原発3号機の審査を1、2号機より優先するよう要望。関電は、「(申請した)4基同時に審査してもらいたい」と発言。四電は「科学的・合理的かつ効率的な審査を」と述べたほか、九電は「電力の安定供給など原発の稼働が必要だ」と、再稼働の必要性を強調しました。

5原発のほか、東京電力が柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県柏崎市、刈羽村)の初日申請を検討していましたが、新潟県から「安全よりカネか」と反対されています。九電は12日に向けて玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の申請準備をしています。

再稼働を認めるのか参院選の争点に・・市田氏会見

日本共産党の市田忠義書記局長は8日、国会内で会見し、原発再稼働の新基準が施行されたことについて「3点の重大な問題がある」と批判しました。

市田氏は、(1)福島原発事故で15万人が故郷に帰れず、事故原因が地震か津波かもわからないもとで、新基準などつくりようがない(2)原子炉格納容器の設計変更には手をつけず、格納容器内の圧力を下げるためにフィルター付きベントを設置し、放射能を放出することを前提にしている(3)「安全な原発はありえない」と首相も認めながら、防災の責任は市町村長にあるとし、国として責任を負わず地域防災を置き去りにしている―と指摘。「再稼働など論外だ」と強調しました。

安倍政権が「成長戦略」に原発輸出を位置づけていることについて記者に問われ、市田氏は「無責任だ。『原発利益共同体』といわれる電力会社と関連企業のためなら安全はどうなってもいいという立場だ」と批判しました。また、「『原発ゼロ』をいう政党の中にも『新基準をクリアすれば再稼働はオーケーだ』という党がある。今度の選挙で問われるのは、こんな状況のもとで再稼働を認めるのかどうかだ」と指摘しました。

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