東京電力は7月12日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の海側の観測用井戸で採取した地下水から高濃度の放射性物質が検出されている問題で、汚染が南側に広がっていることを明らかにしました。
1~4号機タービン建屋の海側に設置した三つの井戸のうち、最も南側の井戸(ナンバー3)で11日に採取した地下水から、放射性ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質(全ベータ)を1リットル当たり1400ベクレル検出したといいます。
ナンバー3で4日に採取した地下水の全ベータは検出限界(同18ベクレル)以下となっていましたが、濃度が急増しました。
また、これまで高い濃度の放射性物質が検出されていたナンバー1の井戸の周辺に新たに設置した井戸の一つ(ナンバーの2)で11日に採取した地下水からは、放射性物質のセシウム134が同8200ベクレル、セシウム137が1万7000ベクレル、全ベータが89万ベクレルと、8、9日採取分に続いて高い値が検出されました。
東電は、海側の井戸の地下水から高い濃度の放射性物質が検出されている問題について、ナンバー1の井戸が2011年4月に高濃度放射能汚染水が海へ流出した場所に近いことから、そのときの残りが周辺に拡散して、近い位置の井戸から検出されていると推定しています。
しかし、流出した場所から距離のある井戸からも高濃度の放射性物質が検出されたことで、タービン建屋から海側に伸びるトンネルにたまっている高濃度放射能汚染水が漏れ出て、広い範囲の地下水に汚染が広がっている可能性があります。