原発再稼働にむけた安全審査の申請書を原子力規制委員会に手渡した九州、四国、関西、北海道の電力4社の幹部が自民党への献金常連者だったことが7月13日、本紙の調べでわかりました。早期の再稼働で一致する自民党安倍内閣と電力会社が政治資金面でも強いつながりがあることがあらためて浮き彫りになりました。
8日に規制委員会を訪れ、申請書を提出したのは九電の吉迫徹副社長、四電の谷川進原子力本部副本部長、関電の森中郁雄原子力事業本部長代理、北海道電の酒井修副社長の4人です。九電の吉迫氏は12日にも玄海原発の申請書を提出しました。
政治資金収支報告書によると、4人は自民党の政治資金団体、国民政治協会(国政協)に2007年から10年の4年で総額80万円を献金していました。
その内訳は、吉迫氏が計10万円(07~10年分)、谷川氏が計36万円(同)、森中氏は計12万円(07、08年分)、酒井氏が計22万円(07~10年分)。
原発を持つ電力会社9社の国政協への役員献金は、09年分だけで約2800万円にのぼります。献金額は社長が30万円、副社長は24万円などと、役職で格付けされており、組織的に行われた事実上の企業・団体献金との指摘もあります。4人のこれらの献金は、こうした“企業献金”の一環で行われたものとみられます。
北海道電の酒井氏が同社原子力部長だった08年には、泊原発へのプルサーマル導入をめぐる住民説明会で社員を動員する「やらせ」が4件も発覚しています。原子力部も社員の動員を手配するなど加担しており、酒井氏は「やらせ」の準備状況について報告を受けていました。
役員の個人献金について、「個人献金については個人の考えにもとづいて行われており、承知していない」(関西電力)などとして、会社による組織的な献金を否定しています。