「原発いらない」「再稼働反対」―。首相官邸前に力強いコールが響きます。首都圏反原発連合(反原連)が7月26日行った官邸前抗議行動。放射能汚染水の海洋流出など、福島第1原発で危機的な状況が続くなか、再稼働を推進する安倍晋三内閣に、5000人(主催者発表)の参加者は、抗議の声をあげました。
参院選後、初の抗議行動となったこの日、大勢の参加者が「再稼働絶対NO」「先に汚染水とめよ」など書いたプラカードを持ち、ドラムのリズムにあわせてコールしました。本紙記者が参加者200人にアンケートしたところ、31人が初参加者でした。
初めて参加したというさいたま市の男性(30)は「核のゴミの行き先も決まっていないし、原発はやめるべきだ。参院選で自民党が圧勝したけど、脱原発の世論は高まっていると感じます」と語りました。
東京都目黒区の女性(34)も初参加。「自分も何か抵抗しなければと思って、ネットで調べて参加しました。すごい熱意で驚きました。再稼働には断固反対です」
東京都足立区から参加した男性(40)は「安全とはとてもいえない状況で、電力会社が次々と再稼働を申請していることに疑問を感じます」。
日本共産党の笠井亮衆院議員、田村智子、吉良佳子の両参院議員がスピーチしました。
“この声、首相は聞け”
笠井・田村・吉良各氏が訴え
日本共産党の笠井亮衆院議員と田村智子、吉良佳子の両参院議員は26日、首相官邸前抗議行動でスピーチしました。
笠井氏は、安倍首相が国会のねじれが解消したといっていることに対し、「再稼働反対、原発なくせという国民とのねじれはちっとも解消していない」とのべ「今こそ、再稼働をやめ、原発をなくす決断をしなさい」と首相に迫りました。
吉良氏がマイクを握ると、参加者から大きな拍手と歓声が起こりました。吉良氏は、雨の日も風の日も官邸前の仲間と声を上げ続けてきたと強調。「国会のなかでこの声を安倍首相に突きつけたい」と力を込め、「将来の子どもたちのためには原発のない日本しかありえない。原発が日本からなくなるまで声を上げ続けます」と訴えました。
田村氏は、「国会を国民の力で包囲して、原発再稼働を許さず、大飯原発を止めるために力を尽くしていきましょう」と呼びかけました。
「原発ゼロ」思い込め初参加
首相官邸前
7月26日の首相官邸周辺での原発抗議行動では、初めて参加する夏休みの学生や家族連れなどの姿も。初参加の思いを聞きました。
東京都小金井市から参加した大学1年生の木原直人さん(20)は「原発は危険で核兵器にもつながるものだから再稼働に反対です。世の中を変えるために、もっと参加していきたい」と語ります。
埼玉県川口市から子ども3人と夫婦で参加した佐藤裕子さん(33)は「子どもが夏休みに入ったので、やっと連れてきました。再稼働しようとする安倍政権は暴走している」と不安を口にします。
「事故はまだ続いているのに再稼働、輸出だなんて狂っています」と怒るのは、渋谷区の島かほりさん(65)。「3・11以前から原発に反対ですが、事故後に調べて原発がこんなに危ないと知って驚きました。こういう運動はとことんやるべき。若い人にもっと知らせて」
米国から一家で来日していたエイブル・ジョナサンさん(42)は「日本の友人に誘われて参加しました。エネルギーは必要だと思うけど、福島のような事故はもう起こしてはいけない。日本だけでなく世界の大きな問題」と話していました。
大間に不要・・秋田
秋田県の「さよなら原発県民アクション」は、秋田市中通の仲小路などをデモ行進し、「原発再稼働、原発輸出ゆるすな」などと唱和しました。25人が参加しました。
大館市役所から″ハチ公小径(こみち)″までデモ行進する「原発ゼロを求める金曜日大館行動」には19人が参加し、「大間の建設やめよ」「女川、東通、廃炉」などと声を合わせました。
″輸出は恥″・・名古屋
名古屋市の関電東海支社前では、「原発なんてまっぴらゴメンだ!」「収束なんてしていない!」と集まった市民らが声を響かせました。2匹の犬と一緒に参加した54歳の女性は、「安倍さんもねぇ…。『原発は安全だから輸出する』なんて、よくもまあ自信満々で言えるもの。同じ日本人として恥ずかしいことです。大飯も止めないまま稼働を続けるとは規制委員会も何のためにあるのか」とあきれ顔です。
倉林さんも・・京都
京都市の関電京都支社前では「大飯を止めよう」「原発なくてもええじゃないか」などとコールを響かせました。
参加者らは、「参院選挙で、反原連のビラの受け取りが良かった。草の根の運動をもっと広げよう」「自民党がたくさん当選して心配。原発の真実を知らせる運動を強めなくては」と語っていました。日本共産党の倉林明子参院議員も参加しました。
ぼくも反対・・岡山
岡山市では、原発ゼロをめざすイレブンアクション岡山実行委員会が49回目、開始から1年の行動に取り組みました。市内の中国電力岡山支社前で、経済産業省が福島第1の廃炉費用の一部の電気料金上乗せを認めたことに「国民は納得できない」(伊原潔事務局長)と訴えました。(写真)
参加者は「♪電気はたりている 再稼働許さない」と歌って行進。藤本蒼土(そうと)さん(13)は「ぼくも再稼働に反対。危ないから無くして」と話していました。
ゼロがいい・・長崎
長崎市では、原発ゼロをめざす長崎連絡会の呼びかけた「いますぐ原発ゼロヘ! ながさき『あじさい行動』」がありました。
35人がプラカードを手に「自然エネルギ一に転換しよう」「子どもを守ろう」と唱和し、市役所と県庁を往復しました。
先頭を歩いた医療機関に勤める男性(30)は「原発はいますぐになくしてほしい」、同じ職場の女性(32)も「それに尽きる」とうなずきました。
原発反対・・各地行動 汚染水流出を批判
参院選後の最初の原発反対金曜日行動が7月26日、各地で取り組まれました。汚染水流出に抗議する声も上がりました。
新潟・・仮装
新潟市では「なくそう原発新潟市民ネット」の50回目の行動が新潟駅近くの石宮公園で行われ、防護服の仮装姿の3人を先頭に市街をデモ行進しました。
参加者は「東京電力が、福島原発での、汚染された地下水の海への流出を認めた。参院選のあとの発表は、原発批判の盛り上がりを避ける意図がある」「原子力規制委員会の田中委員長が、福島原発はたまり続ける汚染水で水だらけなので、処理済みの汚染水の海への放出は避けられないと言った。地元無視の発言だ」と述べました。
恒例の替え歌では、「どこでも危険」(元歌「いつでも夢を」)を「星より明るく雨よりやさしく 首相は原発売っている…言っているいる およしなさいな いつでも危険どこでも危険」と合唱しました。
石川県・・対話
石川県では、金沢市のJR金沢駅東口広場で原発再稼働反対や原発ゼロを訴える金曜行動が行われ、約40人が参加しました。昨年(2012年)7月6日から毎週続けられ54回目。
参加者らは「原発は必要かどうか」を聞くシールアンケートで通行人と対話。首都圏反原発連合製作のリーフレットを配布。脱原発への思いを込めた「どいね音頭」やコール、手作りプラカードなどでアピールしました。
配布されたリーフレットを読んでいた金沢市の男性(25)は最初、「原発は危険な部分もあるが、電力のためにも安全対策をして動かさざるをえないのでは」と話していましたが、対話で、日本の原発の多くが活断層の近くや上にあることや、自然エネルギーの可能性の豊かさを聞いて「それなら原発から自然エネルギーにしないといけないですね」と語りました。
福井・・激怒
原発再稼働に反対する金曜日定例の抗議行動が、福井市内にある関西電力地域共生本部の前で取り組まれ、集まった人たちが「再稼働も輸出もノー」などと記した、のぼり旗やプラカードをかかげて立ち並びました。
参加者からは、東京電力福島第1原発の放射能汚染水漏れに対し「今何よりもやるべきは、輸出ではなく事故を解決することだ」「東電は海への漏れを参院選投票日の翌日に認めた。けしからん」などの発言が相次ぎました。また、原発をなくす全国連絡会、さよなら原発1000万人アクション、首都圏反原発連合の3団体が共同で10月13日に取り組む統一行動「10・13 NO NUKES DAY」が紹介されました。
静岡・・合唱
静岡県沼津市の中央公園では、浜岡原発(御前崎市)を廃炉にし原発ゼロをめざす沼津市民の会が、23回目の「さよなら原発金曜日集会」を行いました。
30人余が道路向かいの東京電力支店に向け「汚染水を海に流すなー」「再稼働反対」「子どもを守ろう」などとシュプレヒコールしました。替え歌も初めて合唱しました。ウオーキングで通りがかった多くの通行人の注目を集めました。
初参加の長嶋和彦さん(52)は、旧浜岡町で生まれ育ちました。原発建設が進むにつれて自然豊かだった故郷が失われていった悲しみを述べ、「事故が起こったら両親や親類が住めなくなってしまうことが心配で、いてもたってもいられない。浜岡原発は今すぐ廃炉に」と話していました。
高校生の岡田基実さんは「選挙で原発即時ゼロの共産党が躍進し、脱原発の候補も当選した。投票できない私と同じ思いの人が多くいたのがうれしかった。しかし、再稼働推進の自民党も増えてしまった。運動を強め、若い人もまきこみ、阻止していきたい」と語りました。
岐阜・・深刻
岐阜県関ケ原町では、国道21号沿いの大垣共立銀行付近で、原発ゼロを求める取り組みが行われました。
「花は咲く」の音楽を流しながら、参加者は「原発ゼロ」などと書かれたプラカードを首からさげて「だめだめ原発」「命を守れ」「関ケ原を守れ」と声を上げアピールしました。
毎回参加している女性(80)は「なんとか頑張って、ちっとでもよくなるように、できるだけ参加したい」と話します。
日本共産党の田中由紀子町議が「関ケ原は福井県の敦賀原発から50キロです。放射能が風にのってきたら関ケ原はたちまち汚染される。県のシミュレーションでも避難対象となったけど、8000人の町で、どう、どこに避難するのか。原発事故が収束してないのに再稼働は許されない」と訴えました。
長野・・開始
長野県千曲(ちくま)市でも金曜行動に呼応した「バイバイ原発フェス」が始まりました。この日は約20人が参加し、1分間スピーチや替え歌で、原発なくそうの思いを共有しました。
主催は千曲市原発問題懇談会。同会の宇田川弘子さんは「多くの市民が、原発はよくないと思っている。月に1度の行動を粘り強く続けたい」と語りました。参院選挙区候補として奮闘した日本共産党の唐沢千晶さんも訴えました。
飯田市の健和会病院前では、7人がスピーチ。参院選で自民党が大勝したことにもふれ「草の根から、原発再稼働・輸出をさせない活動を続けていこう」という発言が相次ぎました。