東京電力は7月27日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)2号機タービン建屋東側の、海の近くへと延びている地下配管内の水から1リットル当たり23億5000万ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表しました。この値は2011年4月に海へ流出した汚染水に含まれていたのと同程度で、極めて高い濃度の汚染水が今も海の近くに存在することが明らかになりました。
23億5000万ベクレルの放射性セシウムを含む水は、海から50メートルのところにある配管にたまっていました。この配管は、ケーブルなどを通すためのもので、東電が26日に採取して分析した結果、1リットル当たりセシウム134が7億5000万ベクレル、セシウム137が16億ベクレルで、合わせて23億5000
万ベクレルの放射性セシウムが含まれていました。ストロンチウム90などベータ線を放出する放射性物質(全ベータ)も同7億5000万ベクレル含まれていました。
2011年4月には、2号機タービン建屋などの地下にたまった高濃度放射能汚染水が海側へ延びる配管などを通じて海へ流出する事故が起きており、流出した水には、1リットル当たりセシウム134、セシウム137とも18億ベクレルで、合わせて36億ベクレルの放射性セシウムが含まれていました。
解説・・海への流出防止待ったなし
東電は22日に、福島第1原発から放射性物質で汚染された地下水が海へ流出し続けていることを認めましたが、今回2号機の海に近い場所に23億ベクレルを超える放射性セシウムを含む水が発見されたことは、地下水流出の危険性をいっそう鮮明にしました。
福島第1原発では、1~4号機東側の海に近い場所に設置した観測用井戸の一つで5月に採取した地下水から国の濃度限度を大きく上回る濃度で、放射性物質のストロンチウム90やトリチウム(3重水素)が検出されました。その後、近くの海水のトリチウム濃度の上昇や、地下水から放射性セシウムが高い濃度で検出されるなどしたため、東電も放射性物質で汚染された地下水が海へ流出していることを認めざるを得ませんでした。
2011年4月に高濃度放射能汚染水が海へ流出した後も、流出の危険性が続いていることは、以前から指摘されていました。しかし、東電は流出した場所の周辺をふさいだだけで、海に近い場所のどこにどれぐらい汚染水が存在するかを把握し、海への流出を防ぐ抜本的対策を怠ってきました。
東電は、現在海へ流出している放射性物質で汚染された地下水は、2011年4月に流出した高濃度放射能汚染水の残りだとみていますが、今回見つかったような海に近い配管内にたまっている高濃度放射能汚染水が流出している可能性も否定できないとしています。一刻も早い地下の汚染状況の全容解明と、海への流出防止対策の実施が求められています。
(間宮利夫)