「原発いらない」「再稼働反対」「海を汚すな」と力強い訴えが響きました。首都圏反原発連合(反原連)が2日に行った首相官邸前抗議行動。福島第1原発では放射能汚染水が海に流出する非常事態にあるのに、「原発の活用」を掲げ、再稼働を推進する安倍晋三内閣に対し、抗議の声をあげました。
この日の参加は4000人(主催者発表)。「放射能に汚染されたらどうするのか。伊方原発の再稼働は絶対許さない」と訴える愛媛の女性も。ドラムのリズムに合わせて、官邸を揺らす力強い抗議のコールが響き、「地震大国に原発いらない」「自然エネルギーで産業興し」などのプラカードも見られました。
東京都港区の女性(43)は初参加です。「夫の親戚が福島県南相馬市に暮らしています。変わり果てた被災地の現場を見たら、再稼働なんてとんでもない。事故も収束していないのに政府は無責任」といいます。
東京都世田谷区の男性(69)は「なかなか原発をやめようとしないのは、ばく大なもうけが保証されて目がくらんでいるためです。福島の原発から汚染水や蒸気がもれるなんてとんでもないこと。再稼働なんかすべきじゃない」。
「原発やめろ! 国民の声」と書いたプラカードを持って水戸市から参加した男性(38)は「汚染水流出は、外部から指摘があったのに、十分な対処をせずに悪化させ、事態が大きくなったら情報を隠し、取り返しがつかなくなってから認めるという、3・11(の原発事故)のときとまったく同じやり方です。再稼働しても安全なんて、誰も信じません」と話しました。
東京都世田谷区の会社員男性(38)も「汚染水が海に流出している状況で、再稼働に力を入れるなどもってのほかです」。
笠井・吉良氏決意のコール
日本共産党の笠井亮衆院議員、吉良よし子参院議員は2日、首相官邸前抗議行動に参加し、官邸前と国会前でスピーチしました。
笠井氏は「今日から新しい国会が始まりました。福島第1原発はどうなるのか、原発をどうするのか、政治と国会の責任はいよいよ重大です」と強調。汚染水の問題にふれ、「再稼働は論外。輸出などは“論の論外”。安倍首相は収束宣言を撤回し、非常事態宣言を出すべきです」と訴えました。
「いよいよここからがスタートです」とのべた吉良氏は、世論と国政とのねじれはまったく解消していないと指摘。「今すぐ収束に力を尽くすのが政治の仕事です。みんなで日本から原発をなくそう」と呼びかけ、「原発いらない」とコールしました。
原発ゼロへ・・各地で宣伝・デモ
原発再稼働反対、即時原発ゼロを求める金曜日行動が8月2日も各地で行われました。
「やめんべなし」・・福島
秋田県の「さよなら原発県民アクション」は、秋田市中通の仲小路などをデモ行進し、ラップ調で「再稼働はゆるせない、原発輸出とんでもない」などと唱和しました。
35人が参加。「福島かえせ故郷かえせ」のあとに「ドッコイショ、ドッコイショ」と竿燈まつりの掛け声も入りました。
大館市役所から″ハチ公小径(こみち)″までの「原発ゼロを求める金曜日大館行動」には、初参加を含む25人が参加しました。「大間つくるな」「女川、東通、廃炉」などと声を合わせました。
「やめんべなし」・・福島
福島県会津若松市の神明通りで、45回目の金曜行動が取り組まれました。フェルト地に「原発はすぐやめんべなし(やめましょうね)」という文字を縫いつけた横断幕などをかかげての行動です。
横断幕などを手作りした和合恭子さん(68)は「事故原因が分からず、今も汚染水が流出しているのに再稼働するとは怒りでいっぱい」と言います。
佐藤ヒロ子さん(60)は「国や電力会社にもっと被災者への対策をしっかりやってもらいたくて行動を続けている」と語りました。
福島県内ではこのほか、いわき、喜多方、相馬の各市、南会津町でも行いました。
三菱重工OBも・・名古屋
名古屋市の関電東海支社前では、「電力会社は自然を守れ!」「安倍政権は原発やめろ!」と市民らが抗議の声をあげました。
三菱重工のOBという男性(69)は「原発を造っていた同僚や技術屋も、腕に自信があるといいながら『使用済みの燃料の捨て場はないよなあ』と話していた。今もトルコ向けの原発の材料の手配はしているというがね、いまだにこんなもん造ってちゃおしまいだよ」と話します。
関電前に響く声・・大阪
大阪市北区の関西電力本店前では、労働者や若者、お年寄りらが「原発いらない」「再稼働反対」と抗議の声をあげました。
京都市から参加した男子学生(32)は本店前で声をあげたいと、大阪まできています。「参院選は自民党が圧勝したとはいえ、共産党の躍進も含めて原発反対の票が結構出たのでうれしい。原発がなくても電力は足りているし、将来の世代にとっても、ないのが一番合理的。関電の社員の人にも共感する人がいると思うので激励になれば」と語りました。
「赤旗」報道紹介・・岡山
原発ゼロをめざすイレブンアクション岡山実行委員会は、岡山市北区の中国電力岡山支店周辺で50回目のデモ行進をしました。
伊原潔事務局長は、「しんぶん赤旗」の調べで原発再稼働へ新規制基準の適合審査を受けている五つの原発が立地する4道県の安全審査委員10人が電力会社などから原発マネーを受けていることが分かったと紹介。「大問題。再稼働は許せません」と訴えました。
参加者は「原発の再稼働は人道に反しています」などと、アピールしました 。
取り組もう・・福井
福井市内の定例抗議行動は、関西電力の地域共生本部近くで取り組まれ、仕事帰りなどの人たちがプラカードをかかげて立ち並びました。
新日本婦人の会県本部の田島ちゑ子会長が発言し、同県本部の主催で10月28、29両日に福島県を訪問する計画を紹介し、男女を問わず参加を募りました。
原発問題住民運動県連絡会の林広員事務局長は、原発をなくす全国連絡会、さよなら原発1000万人アクション、首都圏反原発連合の3団体が共同で10月13日に取り組む統一行動「10・13 NONUKES DAY」に呼応し、「福井県でも取り組みを計画したい。実行委員会を開くのでぜひ参加してほしい」と呼びかけました。
なくしたい・・石川
石川県金沢市のJR金沢駅東口広場での金曜行動には約45人が参加しました。今回で55回目。
参加者は「原発は必要かどうか」を聞くシールアンケートで通行人と対話し、合わせて首都圏反原発連合製作のリーフレットも配布しました。脱原発への思いを込めた「どいね音頭」やコール、手作りしたプラカードなどで市民にアピール。毎月1回開催しているデモ(今月は17日)への参加も呼びかけました。
対話した人からは「2基の原発しか動いていないのに電力は足りている。原発は動かさず自然エネルギーに変えていった方がいい」「原発を無くして別の発電方法に変えるのは大変だという人もいるが、事故の危険性を考えると原発は無くさないといけない」などの声が出されました。
子を守ろう・・富山
金曜行動が50回目を迎えた富山県の「いらんちゃ☆原発@富山」では、参加者が富山市牛島公園での集会後、北陸電力前まで脱原発を求めてパレードしました。
「原発いらない」「志賀原発再稼働反対」「子どもを守ろう」などと繰り返しコール。太鼓などの鳴り物やプラカードで沿道の人々にアピールしました。
参加したい・・新潟
新潟市では、「なくそう原発新潟市民ネット」の51回目の行動が新潟駅近くの石宮公園で行われ、防護服の仮装の3人を先頭に市街をデモ行進しました。
阿賀野市から夫婦で初めて参加した清水明子さんは「金曜日行動に参加できてよかった。評判の替え歌を聞きたかった。未来ある子どもたちのために、原発はなんとしてもなくしたい」と語りました。
参加者は「私の家の近くに野菜産直の店がある。先日福島ナンバーの車の人が、たくさん野菜を買い込んでいった。いかにまだ福島の人たちの苦労が続いているかが分かった。廃炉まで行動しよう」と訴えました。
恒例の替え歌では、「再稼働ダメだぞ」(元歌「ウルトラマンタロウのうた」)を「原発の父が来た原発の母が来た そして東電がやって来た…力がほしいと願う時知事と県民立ち上がり」と合唱しました。
たたかおう・・長野
長野市では54回目の原発再稼働反対金曜デモが行われました。
この日は長野びんずる祭りの前夜祭とも重なって人出が多く、子どもたちの注目を集め、アピールに手を振ってこたえる人もいました。友達や家族に誘われて「デモに初めて参加した」という人も広がっています。
よびかけ人の田澤洋子さん(57)は「再稼働の申請ラッシュ、福島第1原発の汚染水問題、原発を輸出しようとする政府、目の離せないことばかりです。まだまだたたかいは続きます」と話します。
声上げよう・・岐阜
岐阜県各務原市の市民公園では「さよなら原発イン各務原」1周年記念集会が開かれ、約40人が参加しました。
子ども連れの人たちも集まり、かき氷や焼きそば、スイカを食べ、「青い空は」「そんな町を」を歌い、にぎわいました。
市民公園の近所に住み毎週のデモ行進に興味を持っていたという女性(40)は、「原発はすぐに撤退してほしい」と語り、かき氷を食べ最後まで参加していました。ビラを見て参加した女性は友達約50人にメールで集会を連絡。「これからは都合がつくときには参如します」と言います。
集会後、参加者は「未来のために廃炉にしよう」と声をあげ、市内をデモ行進しました。
頑張りたい・・静岡
静岡市青葉公園では、55回目の「再稼働反対アクション@静岡」が行われました。
参加した約20人は強い雨が時おり降るなか、ギター、タンバリンなどの音にあわせ、恒例の替え歌を合唱し「再稼働反対」「子どもを守ろう」と通行人にアピールしました。交代でマイクをもち、いまだに福島原発事故が収束していないと指摘し、安全のために中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)廃炉、原発ゼロに向かうべきだと訴えました。
党参院選挙区候補だった森大介氏も参加しました。
アクションの一番前で拳を突き上げていた梶谷徹哉さん(68)は、「地球を汚す原発をどうしてもなくしたいです。共産党が参院選で躍進してよかった。自民党と正面から対決して、即時原発ゼロ実現へ頑張ってほしい」と話していました。