東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の敷地内の地下水が放射性物質に汚染され海へ流出している問題で8月12日、原子力規制委員会の2回目の汚染水対策検討ワーキンググループが開かれました。
1、2号機取水口の間の護岸近くの地中に遮水壁をつくる工事によって地下水が上昇した問題で、東電が9日から同領域で1日24トンの地下水のくみ上げを始めましたが、この日の会合では、くみ上げによって地下水の水位が下がる効果は確認できないとしました。
また東電は、1、2号機護岸で1日に60トン、全体で140トンをくみ上げることによって、汚染された地下水が海に流出しないとする解析結果を示す一方、地下水位が上昇しないようくみ上げた場合でも水ガラスの壁やそれより深い地層などから1、2号機間で1日に5~15トン、全体で12~35トンの地下水が海洋へ流出が続くとしています。
会合で規制委からは、解析自体の信頼性について疑問の声も出ました。この問題では7日に経済産業省が汚染された地下水が1日300トン、海に流出しているとする推定を発表しています。
トリチウム濃度が上昇・・福島第1 井戸
東京電力は8月11日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の1号機タービン建屋北端の海側に設置した観測用井戸で採取した地下水に含まれるトリチウム(3重水素)の濃度が、2日前に最初に採取した水に比べて上昇していると発表しました。
井戸は、観測用井戸のなかで最も北側。8日、地下水を採取したときのトリチウム濃度は1リットル当たり2万3000ベクレルで、10日に採取した地下水では同3万4000ベクレルでした。
同原発では、1、2号機の東側で、放射性物質に汚染された地下水が海へ流出しています。東電は、1、2号機の間の岸壁の地中に水ガラスの遮水壁を造りましたが、その内側で地下水位が上昇しているため、せき止められた地下水が、遮水壁の上端からあふれて海に流出するとともに、岸壁に沿って、南北方向などに広がっているのではないかと、原子力規制委員会の検討会で指摘されています。