東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所の燃料溶融(メルトダウン)という深刻な原発事故から2年5カ月余。福島県と周辺の自然、住民のくらしは今も放射能被害に侵され続けています。
○・・「俺たちは生殺し状態だ」。同県北部の相馬双葉漁協で出会った漁師の口から飛び出した叫びは、猛暑さえも一瞬、凍らせる響きがありました。親潮(寒流)と黒潮(暖流)がぶつかる福島県常磐沖は「世界三大漁場」の一つに挙げられています。しかし「3・11原発事故」から操業停止に追い込まれています。漁師が吐き捨てるようにいいました。「海に放射能汚染水を垂れ流しながら、なんで原発の再稼働が許されるのか」
○・・かつては200人を超える漁協青年部のリーダーだったという漁師。浜に生きる漁師の日々の姿を懐かしげに語りました。「夕方、浜に集まり仲間たちとコーヒーを飲みながら潮の様子を見る。そして明日の準備につく。そのかけがえのない俺たちの日常が奪われてしまった」
○・・「『百姓の1年。船方(漁師)の明日』という言葉がある。
百姓は1年かけてくらしを考える。漁師は今日がだめでも明日がんばれば水揚げできる、と。そうして安全な魚を消費者に届けてきた。原発事故はそれを根底から壊した」
(眞)