東京電力福島第1原発事故の汚染水漏れ問題が重大な局面を迎えているなか、原発ゼロを目指す行動が30日、全国各地で行われ、原発の再稼働に反対する声が次々とあがりました。
「放射能汚染水対策より再稼働に力を注ぐ政府は許せない」と山形県から初参加した男性(45)は語ります。首都圏反原発連合(反原連)が30日におこなった首相官邸前抗議行動。放射能汚染水が海に流出する福島第1原発の非常事態のなか、原発を再稼働しようとする安倍晋三内閣に、3300人(主催者発表)の参加者は抗議の声をあげました。
ドラム隊のリズムにのせて「海を汚すな」「再稼働反対」とコールが響きます。「放射能毒水とめろ」「電力会社&政府 責任とれ」のプラカードも。
首相官邸に向かって反原連のミサオ・レッドウルフさんが「福島原発事故が収束していないことを公表していただきたい。再稼働は絶対にさせない。9月15日に大飯原発がとまったら、そのまますべての原発をとめなさい」と訴えました。
東京都江東区に住むブラジルの留学生(28)は「汚染水漏れは、事故の対応を東電任せにしてきた政府の責任です。太平洋の魚は世界中の人が食べる。原発輸出なんてありえない」といいます。
19歳の娘と一緒に千葉市から参加した男性(50)は「汚染水の被害は拡大しているのに、政府も東電も『全力で取り組む』と口先だけで、うんざりです。原発を安全に動かす力も資格ない」。初めて参加した娘さんは「汚染水のニュースを見て、原発事故はまだ終わってないんだと思いました。再稼働には反対です」と話しました。
笠井・吉良両議員 輸出撤回を
官邸前抗議行動には日本共産党の笠井亮衆院議員と吉良よし子参院議員が参加してスピーチしました。
吉良議員は「本気で国が責任を持って汚染水の対策をする、日本中の原発をなくす、これしか道はないはずです」と訴えました。
笠井議員は、「政府が全責任をもち、非常事態の態勢で汚染水対策をしっかりするよう、再稼働も輸出もただちに撤回するよう、求めていこう」と呼びかけました。
「再稼働許さねぇ、んだんだ」
秋田
秋田県の「さよなら原発県民アクション」は、秋田市中通の仲小路などをデモ行進し、「再稼働はゆるさねえ、んだんだダメだ」などと唱和しました。33人が参加しました。
通りがかったドイツ人の男性は、「日本が放射性物質を海に流したとドイツで大きなニュースになっている」と話していました。
大館市役所から″ハチ公小径(こみち)″まで行進する「原発ゼロを求める金曜日大館行動」には23人が参加し、「大間つくるな」「女川、東通、廃炉」などと訴えました。
名古屋
名古屋市の関電東海支社前に集まった市民らは雨の中で、「猛暑は終わった。もう止めろ!」「原発なんて1基もいらんぞ!」と抗議の声を響かせました。
先日、富士山に登ってきたというカナダ人学生のマイク・グレームさん(21)も覚えたての日本語でコール。
「自然のきれいな国なのに、まだ原発を回そうとしているとは悲しい。汚染水も毎日漏れているし、影響がなくなるまで1万年以上もかかるという。その間、人類にどう生きろというのか」と話しました。
京都
京都市下京区の関西電力京都支店前では、雨が降りだす中、約130人が参加し、「みんなの海に放射能を流すな」「みんなの未来に原発いらない」とアピールしました。
福島県の浪江町で被災し、同県桑折町の仮設住宅で暮らす菅野みずえさん(61)がマイクを握り、「もう原発はごめんです。早くいらないと気づいてください」と職員にも呼びかけました。
大阪
「大飯原発いますぐ廃炉」「原発やめろ」。大阪市北区の関西電力本店前。初めて参加する人もいて、タンバリンやパネルを持って、多くの市民が一丸にな って抗議の声を突きつけました。
「いのちをまもれ」と書いたパネルを掲げて、声を上げたのは宝塚市の女性=事務職勤務=。「原発はやめてほしい。事故が起こると経済活動どころか日本の損害は計り知れない。原発を動かす政府の思考能力が考えられない」と憤ります。
岡山
原発ゼロをめざすイレブンアクション岡山実行委員会は、岡山市北区の中国電力岡山支社周辺で、54回目のデモ行進。「♪ぜんぜんいらない原子力 お前の未来は核のゴミ 子どもの未来を汚すだけ」と歌を歌ってアピールしました。
玄関で手を振ってデモ行進を激励した竹内さだゑさん(70)は「原発は反対です。福島原発事故の汚染水漏れで大変なことになっているのに、原発を再稼働したり、海外に売り込んだりするのは、すぐにやめたほうがいい」と話しました。
長崎
原発ゼロをめざす長崎連絡会の呼びかけで、「いますぐ原発ゼロヘ! ながさき『あじさい行動』」が長崎市でありました。
台風接近の悪天候の中、30人が参加。強い雨脚で一時、雨宿りすることもありましたが、「再稼働反対」「原発なくして未来を守ろう」と歩きながら唱和しました。
参加した男性(64)は「汚染水漏れなど、どんどん深刻になってきて心配です。再稼働させない意志を貫かなければ」と話します。
なくそう原発 金曜行動 ・・“汚染水の対策早く”
原発再稼働反対、即時原発ゼロを求める金曜行動が8月30日も各地で行われました。
新潟・・市街をデモ行進
新潟市で「なくそう原発新潟市民ネット」の55回目の行動が新潟駅近くの石宮公園で行われ、市街をデモ行進しました。
集会で参加者は「東区の『渡されたバトン』上映会に行って、巻住民が団結して原発計画を止めたことに感動した」「原発ゼロ長岡市民ネットが知事に再稼働より福島事故の検証が先だと要請した。われわれも検討したい」と発言しました。
恒例の替え歌では、「悪者たち」(元歌「若者たち」)を「君の売る原発はてしなく危険 だのになぜトップセールス 首相は売るのかそんなにしてまで」と合唱しました。
静岡・・浜岡の廃炉訴え
静岡県のJR掛川駅前では、44回目の「さよなら原発金曜アクションin掛川」が行われました。
「子や孫に原発残すな」「緊急かつ最大の地震対策は原発ゼロ」などのプラカードを持ち、中部電力浜岡原発(御前崎市)廃炉や原発ゼロを呼びかけました。帰宅中の女子高生や若者から「頑張って」の声援が寄せられました。
参加した市内の男性(51)は「汚染水問題など、福島原発事故はいまだに収束していないのに、原発輸出に一生懸命な安倍総理に腹が立つ。世論の力でおいつめたい」と話していました。
石川・・シール投票反響
石川県では、JR金沢駅東口広場で金曜行動が行われ、約30人が参加しました。59回目です。
「原発は必要かどうか」を聞くシールアンケートを持って通行人と対話。自ら駆け寄って投票する人も。配布された首都圏反原発連合製作のリーフレットを読む人の姿も目立ちました。
手作りのプラカードなどを持ち寄り、日本の原発が稼働ゼロになる9月15日に金沢市内でパレードするビラも配布しました。
金沢市内の大学に通う男性(21)は「原発事故が起きれば、汚染水問題など大変なことが付随して起きることがわかった。政府は何を置いても早急に対策をすべきです」と話し、友人に渡す分もビラを持ち帰りました。
岐阜・・毎週同じ思いで
岐阜県垂井町のJR垂井駅前に約15人が集まり、「福島の子供を支援しよう」と書いたのぼり3本を立て、「花は咲く」の曲を流しアピールしました。
「放射能 空気と共に吸っとるよ」と書いた白色のTシャツを着た男性や、福島の子どもを支援する募金をお願いする人もいました。
「毎週同じ思いで集まってきている」という男性(77)は「ここは、いろんな話が聞ける。原発事故が起きて本当に怖いもんだと思った。できる限り参加したい」と語りました。
長野・・中学生も″呼応″
原発なくし、汚染水から海を守ろうと訴える「いな金行動」が長野県伊那市のいなっせ前で開かれました。
参加者15人が「原発いらない!」「再稼働反対!」と訴えると、4人の中学生、社会人の男子グループが「原発の行動だ」と話し、手をメガホンにして「原発はいらないぞー」と言って通りかかりました。社会人は「原発は地球にとっても、環境にとっても良くない。一度爆発すれば手に負えないから」。中学生も「原発にお金をかけるなら、次世代の再生可能エネルギーに使ってほしい」と言いました。
福井・・子どもを守ろう
福井市の関西電力地域共生本部の前で定例の抗議行動が取り組まれ、「再稼働反対」「子どもを守れ」と声を合わせて訴えました。
開始から今回で60回目を迎え、参加者の1人は「原発なくせと毎週意思を表現できる、すばらしい場だ」と言いました。別の参加者からは「汚染水問題の解決を誤れば、歴史問題だけでなく、この問題でもアジアで孤立しかねない」などの発言がありました。
通りがかりの男性(65)は「原発はなくさないといけない。自民党が、いいわいいわでやってきたつけが回ってきた」と話しました。