東京電力は9月17日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)で、台風18号の影響で大量の降雨があった16日、汚染水を貯留しているタンク群を囲む堰(せき)にたまった水の排出量は1130トンに上ったと発表しました。
また、堰の排水弁を通じて、以前から放射性物質が外部に流出していた可能性があることを認めました。
東電によると、台風の影響で降雨があった15日、タンクの堰内に水がたまっていたため、堰で仕切られた区域ごとに、水に含まれる全ベータ(ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質)の濃度を測定。19区域のうち12区域の水はくみ上げてタンク内に移すことにしました。
7区域では、全ベータの濃度がストロンチウム90の告示濃度限度(環境への放出の上限を定めた国の規準)である1リットル当たり30ベクレルを下回っているとして排水弁を開けるなどして堰外に排水しました。
排水した水は、周囲の土に染み込んだり、排水溝を通じて海に流出した可能性が高いとみられますが、東電は「明確に言えない」といいます。
水を移送した12区域のうち1区域ではくみ上げが間に合わず、堰からあふれたといいます。全ベータの濃度は1リットル当たり37ベクレルで、告示濃度限度を超えていました。
8月19日に大量の汚染水漏れが見つかった区域で、堰内の水に含まれる全ベータが同17万ベクレル検出されました。
ほかに同3700ベクレル、同2400ベクレルが検出された区域は2012年1~2月にタンクから汚染水の漏えいが見つかっています。堰の排水弁は、8月19日以前は開けっ放しで、漏れた汚染水がコンクリートに染み込んだ後、雨が降るたびに流出していた恐れがあるといいます。
一方、全ベータが1リットル当たり17万ベクレル検出された水などは近くのタンクに移送。移送量は排水量と同程度で、東電は「タンクを圧迫していく」と述べ、雨どいなどを通じて堰の外へ雨を流せるように対策を検討するとしています。