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原発テロ対策設備見直しへ(上)/安全より事業者に迎合

 原子力規制委員会は、新規制基準で義務付けた原発のテロ対策施設の設置期限を近く見直す方針です。ほとんどの原発で期限内に設置できていないことを理由に挙げていますが、安全は置き去りにして電力事業者の事情に迎合する姿勢です。(松沼環)

 原発のテロ対策施設(特定重大事故等対処施設=特重施設)は、東京電力福島第1原発事故の教訓から新規制基準で設置を義務付けられました。意図的な航空機衝突などのテロに対処するため原発を遠隔で制御するシステムなどからなります。

設置期間延長

 新規制基準を満たしていなければ原発の運転はできません。しかし、特重施設の設置に時間がかかるとして、猶予期間が設けられ、当初、新規制基準の施行から5年の2018年7月でした。それが15年には、審査が長期化したとして各原発の詳細な設計などの認可後5年に延長されました。

 電力事業者は、19年にも工事が見通しより時間がかかるとして設置期間の延長を要請しました。規制委は延長の理由にならないとしてこれを認めず、設置が期限内に間に合わなかった場合、原発の運転中であっても停止することを確認しました。

 今回の検討は、昨年10月に電力事業者が、建設業界の人手不足を理由に期限の延長を求めたことが発端です。規制委は今年2月、事業者の主張は期限を変更する理由には当たらないとした一方で、特重施設が設置された原発12基で期限内に設置完了したのはこれまでに1基のみだったことから、経過措置期間を延長する方向で検討することを決定しました。

「約束」と発言が

 規制委の山中伸介委員長は昨年には、設置期限について「事業者と国民との間の約束。経過措置を決めた規制委と国民との約束」と発言していました。しかし、見直しを決めた委員会後の会見では規制緩和ではなく「規制の継続的改善」と強弁。山中氏の「できないものを約束だから守りなさいという姿勢は規制上好ましくない」という発言からは、安全性よりも事業者の事情に忖度(そんたく)した姿勢がにじみ出ています。

 (つづく)

(「しんぶん赤旗」2026年3月19日より転載)