
国・東電はふるさと返せ
東京電力福島第1原発事故から15年の節目を迎えるもと、福島県浪江町津島地区は、いまも全域が帰還困難区域に指定されています。原発事故以前の暮らしや、現在の課題について日本共産党元町議の馬場績さんから話を聞きました。(伊藤佑亮)
節目を迎える心境を「長い15年。まだ15年」という馬場さん。「生活の土台や生きざまを失ったことへの怒り、くやしさは死んでもあきらめられない」といいます。
津島地区は福島第1原発から約30キロ離れた浪江町北西部の山間にあります。町によると2011年3月11日時点で532世帯1460人が暮らしていました。テレビ番組の企画で音楽グループが農業や村づくりに挑戦するロケ地にもなりました。
家屋の約6割解体
町議を務めつつ、農家の4代目として田畑を耕し親牛と子牛8頭を飼う生活を送っていた馬場さん。「議会の仕事で牛の世話ができない時は、周りの人が助けてくれました。隣のうちも家族のような存在で、協力・協同が自然と生まれる地域でした」と回想します。
それらを破壊したのが原発事故でした。家畜の一部は薬殺を余儀なくされました。自宅や畜舎は2年前に解体。津島地区では家屋の約6割がすでに解体されているといいます。17年に避難指示が解除された一部地域では医療介護保険料の全額免除が26年度に半額免除、27年度には終了します。
馬場さんは「帰還困難区域の避難指示が解除となれば免除もなくなるだろう」と危惧します。
帰還困難区域でとりわけ大きな問題となっているのが、被ばく管理を個人まかせにする「除染なき避難指示解除」の問題です。
国は帰還困難区域内で、将来的な帰還に向けた拠点として除染する「特定復興再生拠点区域」と、20年代に帰還を希望する住民のために除染する「特定帰還居住区域」を設けました。町の帰還困難区域は180平方キロメートルに及びますが、現状除染を実施する両区域を合計しても16・01平方キロメートルにとどまり、91%は除染されません。
原状回復求め闘う
馬場さんは「国・東電は全域で汚染しておきながら『帰るなら除染してあげますよ』という無責任な態度です。帰るか帰らないかの判断を個人の責任にする極めて高圧的な態度です」と厳しく批判します。
全面的な除染など原状回復を求めた「ふるさとを返せ福島津島原発訴訟」の控訴審は今月9日に結審を迎えました。「津島地区原発事故の完全賠償を求める会」代表の馬場さんはこう言います。
「原告650人とともにふるさとを奪われた人びと、地域を代表してたたかいました。一つのヤマを越えたことになります。二度と同じ被害を遭わせるわけにはいかない。原発事故の残酷さを引き続き発信していきたい」
(「しんぶん赤旗」2026年3月11日より転載)