
関西電力の老朽原発である美浜3号(福井県美浜町)と高浜1~4号(同高浜町)をめぐり、地元住民らが運転差し止め仮処分を求めた即時抗告審で28日、名古屋高裁金沢支部(大野和明裁判長)は、抗告を棄却する不当決定を出しました。
住民らは、申し立てを却下した福井地裁(加藤靖裁判長)の不当決定(2024年3月)を受けて、即時抗告していました。
今回の決定では、原発の一般的な可否は立法府と行政府の判断で決定されるべきとし、個々の原発運転の可否は「第一次的には原子力規制委員会の判断にゆだねられる」べきだとして、裁判所の役割を「限定的」とみなしています。今後も重大事故が発生する可能性を否定せず、しかし、運転を許容し、さらに、原発敷地に震源断層が極めて近い場合の地震動の問題には一行も触れていません。
住民側の弁護団からは会見で、「司法は自ら立法、行政のしもべになった」「福島事故のことを重視していないというメッセージ」と厳しい批判がありました。
抗告人の1人である中嶌哲演・明通寺住職は「裁判長は能登を視察したと言っていたので、もう少しましな決定を出すと期待したが、裏切られた」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2025年11月29日より転載)