原発事故時に被ばくを低減するために行う屋内退避の運用に関して議論していた原子力規制委員会の検討チームは5日、報告書の案を発表しました。屋内退避は、3日間の継続を目安に、生活維持が可能であればさらに継続する場合もあるとしています。屋内退避の運用に関するQ&Aも公表されました。
規制委の定めた原子力防災対策指針では、原発事故が発生し周辺住民に放射線影響が生じるおそれのある事態(全面緊急事態)では、原発から5キロ圏内(PAZ)は避難を実施。5~30キロ圏内(UPZ)は屋内退避をし、その後、空間線量の測定結果に応じて避難などに移行することになっています。
昨年1月の能登半島地震では、家屋の倒壊や断水、道路が寸断して集落が孤立し、さらには放射線防護施設の損傷も発生。地震などと原子力災害が複合した場合の屋内退避の実効性に疑念が生じました。
しかし、規制委は、複合災害時には自然災害に対する安全の確保を優先すると説明し、原災指針の考え方を変更する必要はないとしています。一方、屋内退避について実施期間、解除や避難への切り替え判断などの運用上の課題があるとして、検討チームを設置して昨年4月から議論してきました。
報告書案では、屋内退避の開始時期や対処範囲は、従来通り全面緊急事態に至った時点においてUPZ全域で実施するとしています。屋内退避の継続期間の目安を3日間とするとしており、3日間の生活維持のためには「各家庭に備蓄があることが重要」などとしています。
3日目以降の継続が可能かどうかについては、物資の供給状況などを踏まえて随時判断していく運用が望ましいとしており、生活の維持が困難な場合は、国が個々の地域ごとに判断の上、避難を指示することが適切としています。
(「しんぶん赤旗」2025年2月6日より転載)