東京電力は9月28日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の汚染水の放射能を低減するための「多核種除去設備」(アルプス)で、試運転開始の当日に不具
合が発生し、汚染水の処理ができなくなったことを明らかにしました。
アルプスは、3系統のうち他の2系統もトラブルで停止中。今回、汚染水対策の「切り札」などとして、約1ヵ月半ぶりに試運転を開始しましたが、1日足らずでトラブルが起きました。原因は調査中で、再開のめどは立っていません。
東電によると、アルプスは27日午前0時4分に試運転を開始しましたが、同日午後10時37分、前処理設備で「スラリー」と呼ばれる廃液を排出するラインで流量が十分でないことが確認されたため、移送ポンプを停止しました。試運転は継続していますが、汚染水の処理はできない状態です。
アルプスは、汚染水から62種類の放射性物質を取り除く目的で導入された装置。トリチウム(3重水素)は取り除くことができません。3系統のうちA、B系統は3月と6月に試運転を開始しましたが、処理前の汚染水をためるタンクの内側で腐食が見つかり、8月上旬までに運転を停止しています。
今回、試運転を開始したのはC系統で、1日の処理能力は約25 0トン。