東京電力福島第1原発事故で福島県などから京都府に避難した55世帯166人が国と東電に避難費用など総額約8億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が18日、大阪高裁でありました。牧賢二裁判長は国と東電の賠償責任を認めた一審判決を変更し、東電にのみ、92人に総額約1億1000万円を支払うよう命じました。
牧裁判長は、政府の地震調査研究推進本部が2002年に公表した地震予測「長期評価」などに基づけば、海抜15・7メートル程度の高さの津波到来を予測できたと指摘。ただ、実際に発生した地震は長期評価の想定より「はるかに規模が大きかった」と述べました。
その上で、国の責任について、東電に対して仮に適切な措置を講じるよう義務付け、東電が履行していたとしても、「原発敷地への大量の海水の浸入を避けられなかった可能性が高い」と判断。東電には、原子力損害賠償法に基づく損害賠償責任を認定しました。
一審京都地裁は18年3月の判決で、国と東電に対し、連帯して110人に総額約1億1000万円を支払うよう命じていました。
同原発事故の避難者による一連の訴訟を巡っては、最高裁が22年6月、国の賠償責任を否定して以降、国の責任を認めない判決が相次いでいます。(時事)
(「しんぶん赤旗」2024年12月19日より転載)