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主張 女川2号機再稼働/住民に危険を押し付ける暴挙

 東日本大震災(2011年)で巨大津波に襲われ、大きな被害を受けて停止していた女川原発2号機(宮城県)を、東北電力が再稼働させました(10月29日)。同震災で被災した原発としても、事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型の原発としても、初めての再稼働です。

 女川原発は牡鹿半島の中ほどに立地しており、事故が起きたら避難できるのか、周辺の住民や自治体から不安と懸念が出されています。再稼働は、住民の不安に背を向け、危険を押し付ける暴挙と言わざるをえません。

■津波で危険状態に

 女川原発は福島第1原発のような事態には至りませんでしたが、極めて危険な状態でした。外部電源は5系統のうち4系統が断たれ、1号機ではタービン建屋地下の電源盤から火災が発生し、2号機では配管トンネルなどから原子炉建屋地下に海水が入りポンプや熱交換機が水没しました。2号機の原子炉建屋は1000カ所以上ひびが入り強度が著しく低下しました。

 女川原発は海抜14・8メートルの高台に設置されていましたが、地震で敷地が1メートル沈下し、津波の高さ(13メートル)ギリギリでした。敷地前面の海底を、住民の津波対策要求を受けて水面下10・5メートルまで4メートル掘り下げていたことが津波の高さを抑えたとみられています。

 幸いにも津波の直撃を受けず、電源、冷却機器などの全滅をまぬかれましたが、沈下がもう少し大きければ、あるいは津波がもう少し高ければ、深刻な事態に陥る危険がありました。

 東北電力は、7100億円をかけて、海抜約29メートルの防潮堤や建屋の耐震補強などを行いましたが、自然の脅威に対して「これで絶対大丈夫」はありません。慢心は許されません。

■事故時に避難不能

 原発が事故を起こせば、半島先端部の住民は原発方向へ避難することになります。避難計画の対象となる原発から30キロ圏内には約19万人が暮らしています。主要道路は限られており、渋滞などにより避難には数日かかるとされています。

 東日本大震災でも今年1月の能登半島地震でも明らかなように、大きな地震や津波があれば主要道路は寸断されます。孤立集落も生じます。避難計画には実効性がなく、重大事故の際に住民の生命・健康を害する恐れがあるとして、運転差し止めを求める住民訴訟もたたかわれています。

 原発の重大事故がどんなに深刻な被害をもたらすかは、福島第1原発事故で明らかです。多くの住民が暮らしと生業(なりわい)を奪われ、地域社会も壊されました。私たちは、このような危険と共存することはできません。

 総選挙では自公が過半数割れに追い込まれました。財界の意を受けて、国民の安全より原発を優先して原発回帰にかじを切った自民党政治に対する国民の厳しい審判です。

 原発回帰の自民党政治のもとで、原発を止めないために再生可能エネルギーの発電を止めるという、気候危機対策に逆行する事態も広がっています。

 政治の新たな激動のもと、世論と運動を広げ、原発優先から再エネ優先へ、エネルギー政策の転換をかちとりましょう。

(「しんぶん赤旗」2024年11月4日より転載)