原子力規制委員会(規制委)は29日、東海第2原発(茨城県東海村)の防潮堤工事の施工不良についての審査会合を都内で開き、建て直しでなく設計変更で済ませる日本原子力発電(原電)の提案は、現段階では成立するか不透明で「実現性の見通しは全く立っていない」との認識を示しました。
原電は「これまでの地中連続壁を基礎として使用せず残置。周辺の地盤改良や基礎の追加などで、剛性や耐力を確保する」設計変更とし、10月初旬までには、新しい構造設計を説明する方向です。
規制委は、具体性のない原電の方針に対して、地中連続壁を残置する悪影響や、基礎部の構造変更と地盤改良が周辺施設に及ぼす影響など入念な調査・検討を求めました。
会合後の記者質問の中で、規制委は「原電の説明は、設計変更の方針の前提を説明されただけ」とし「変更する構造の品質管理や基礎の強度と剛性を評価するための解析や実験などの調査には長期間を要するだろう」と指摘しました。
日本共産党の江尻加那県議は「規制委の、実現性の見通しがないという認識はその通りだ。設計変更に時間をかけず、再稼働を断念すべきだ。工期延長の2年3カ月には何の根拠もないと感じた」と話しました。
(「しんぶん赤旗」2024年8月30日より転載)