原子力規制委員会は22日、原子力災害時の被ばくを低減する目的で行う屋内退避の運用に関する検討チームの初会合を開きました。
規制委が定めた原子力防災対策指針では、原発で重大な事故が起きた際、半径5キロ圏内の住民は避難、5~30キロ圏では屋内退避を実施し、その後放射線量に応じて避難などの措置をとるとしています。
検討チームでは、放射性物質の放出による被ばく量のシミュレーションを行い、屋内退避の対象範囲や実施期間を検討していくことにしました。
この日の会合では、事務方から新規制基準で導入が義務付けられた重大事故対策が機能した場合を想定したシミュレーションが提案され、詳細を次回、検討するとしています。
規制委の伴信彦委員は、シミュレーションの目的について「放射線被ばくに特化した時に、事象進展に応じて、どれくらい空間的、時間的に余裕が生じるのかを知っておきたい」などと説明しました。
宮城県の参加者からは「能登半島地震については、屋内退避自体が困難な事態が生じていて、世間的にも不安視されている。屋内退避できない場合の対応策を持ち合わせておかなければいけないと考えている」などの声が上がりました。
また、規制委の杉山智之委員は、今後の日本における原子力事故は基本的に複合災害となるだろうといい、原子力災害時には「原子力施設の内側だけでなく外側もかなりひどいことになっていることを当然の条件として考えなくてはいけないと思っている」と述べました。
同検討チームでは、月に1回程度の会合を通して、今年度末を目途にとりまとめを行います。
(「しんぶん赤旗」2024年4月23日より転載)