内閣府はこのほど、1月1日の能登半島地震による多数の道路寸断、孤立地区の発生、放射線防護施設の損傷について調査結果をまとめました。
調査は2月下旬から3月上旬にかけて内閣府原子力防災職員と石川県職員が、同県7市町を対象に自治体への聞き取りや現場確認をして実施しました。
原子力災害対策指針は、原発事故が起きた場合、原発から5キロ圏内はすぐに避難を開始。5~30キロ圏では、まず屋内退避を実施し、空間の放射線量の実測値に基づいて避難することになっています。
道路状況の調査結果では、石川県が定める避難計画で基本的な避難ルートとされる30キロ圏内の32カ所で橋梁(きょうりょう)前後の段差や土砂崩落などで通行止めになり、うち8カ所はう回路もありませんでした。
計画では能登半島北部の自治体も避難先になっています。調査結果では、断水などのインフラ被害や物資不足、家屋倒壊の程度が大きく、「避難住民の受け入れが困難だったと考えられる」としています。
道路や海路の寸断で発生した30キロ圏内の孤立地区は輪島市や穴水町、七尾市で14地区あり、人数は少なくとも154人。孤立が解消されるまで最も長かったのは2週間以上たった1月16日でした。輪島市門前町の孤立地区ではヘリコプターで避難したほか、海岸部の隆起箇所を歩いて避難した住民もいました。
県内の20の放射線防護施設の調査では、倒壊の恐れなどで防護施設として活用できないのが3施設、活用できない可能性があるとしたのが3施設ありました。活用できない施設のなかでは、外部からの放射性物質の流入を防ぐ「陽圧化装置」がスプリンクラーの作動による散水で働かなくなった例もありました。
(「しんぶん赤旗」2024年4月19日より転載)