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東京電力福島第1原発事故で福島県から神奈川県に避難した住民168人が、国と東電に総額約7億800万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が26日、東京高裁(志田原信三裁判長・退官/金子修裁判長代読)でありました。
判決は、国が東電に適切な津波対策を義務づけていたとしても同程度の事故が起きた可能性が相当程度あるとして、一審の横浜地裁判決(2019年)を覆し、国の責任を否定しました。東電に対しては、原告154人に総額約4億5800万円の賠償を命じました。横浜地裁での一審判決を総額で約3800万円上回りました。
同種の集団訴訟で国の責任を否定した22年6月の最高裁判決後、国の責任を判断した高裁判決は6件目で、いずれも国の責任を認めていません。
村田弘(ひろむ)原告団長と水地(すいち)啓子弁護団長は共同で声明を発表。「最高裁の結論に整合させただけの判断」だと批判し、「司法が安易に国を免責することは、同種事故の再来を招くおそれが高く、容認できない」と表明しました。賠償については「不十分ながら評価」しました。
村田さんは「これが司法か。事故がなければ13年間それぞれの人生を歩めたが、根っこが崩され今なお続いている」と憤り、上告する決意を述べました。
(「しんぶん赤旗」2024年1月27日より転載)