日本共産党の笠井亮議員は14日、衆院原子力問題調査特別委員会で、東京電力福島第1原発事故において重大な未解明問題が残されており、結論が得られるまで原発の審査も稼働も中断すべきだと求めました。
事故から12年後の今年3月に福島第1原発1号機の調査で、原子炉の圧力容器を支える筒状の鉄筋コンクリート製の土台「ペデスタル」底部で、コンクリートが失われ鉄筋がむき出しになっていることが判明しました。厚さ1・2メートルのペデスタルの損傷は内側の全周にわたって約0・6メートルの深さまで、外側も外周の約3・9メートル、深さ0・6メートルに及んでいます。
笠井氏が、「ペデスタル損傷のメカニズムは解明されているのか」と質問したのに対して、原子力規制委員会の山中伸介委員長は「確実な推定は困難」と答弁。
原発に対する規制委の新規制基準の適合性審査では、炉心溶融が起きた場合、高温の溶融炉心がコンクリートを溶かす「溶融炉心・コンクリート相互作用」の影響を評価することになっています。
笠井氏は、これまでの審査でコンクリートが侵食される深さは最大でも19センチと評価されており、1号機のペデスタル損傷量と比べ著しく違うことを指摘。
これに山中委員長は、1号機と審査対象の原発では「前提が異なる」として、審査の妥当性を主張しました。
笠井氏は、これまでの評価や審査は科学的な厳密さを欠いているとして、「事故の未解明な問題を残したまま、適合性審査を完了させてはならない」と強調しました。
(「しんぶん赤旗」2023年11月15日より転載)