日本共産党の岩渕友議員は8日の参院経済産業・農林水産両委員会の連合審査会で、東京電力福島第1原発の汚染水(アルプス処理水)海洋放出の即時中止を求め、汚染水を減らす対策にこそ取り組むべきだと主張しました。
汚染水の海洋放出は漁業者との約束を反故(ほご)にしているうえに、いつまで放出が続くのか、放射性物質の総量がどのくらいになるのかもわかりません。岩渕氏は、溶け落ちた核燃料デブリに触れた汚染水にはアルプス処理後もトリチウム以外の放射性物質が残り、いまあるタンクの約7割はそれらの濃度が排出基準を上回っていると指摘。さらに、現時点で毎日約90トンの汚染水が生じているとして、今後放出する放射性物質の総量と放出期限をただしました。
東電の小早川智明社長は「規制基準を満足した上で放出作業がなされる」などと述べるだけで、放射性物質の総量は答えませんでした。
岩渕氏は、地下水が流れ込んでデブリに触れるのを防ぐ広域遮水壁の設置など、専門家や市民団体が提案する対策で汚染水を抜本的に減らす必要があると強調。また、汚染水を固めて長期保管するなど海洋放出以外の方法も提案されているとして、「汚染水を抜本的に減らす対策、海洋放出以外の方法を実現することにこそ、真剣に取り組むべきだ」と迫りました。
西村康稔経産相は「いまも約束は果たし続けている」と答弁。岩渕氏は「約束を守るということは、ちゃんと対策をとるということだ」と主張し、海洋放出はいますぐ中止すべきだと訴えました。
(「しんぶん赤旗」2023年9月9日より転載)