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汚染水放出 代替案の検討不十分・・国・東電と交渉 環境団体が批判

 国際環境NGO「FoEジャパン」は17日、東京電力福島第1原発事故で出た処理汚染水(アルプス処理水)の海洋放出方針をめぐって、経済産業省、原子力規制庁、東電と交渉しました。市民団体から提案された処理汚染水をモルタルで固化する代替案を退けた政府・東電側に対し「海洋放出ありきで、まじめに検討しないのは不合理だ」「いま立ち止まって、頭を冷やしてください」といった批判が出されました。

 交渉では、原子力市民委員会が提案したモルタル固化案についての検討内容が議論になりました。経産省の担当者は、過去の作業部会や小委員会の議論をもとに処分方法が決定されたと説明するのみで、具体的な内容を示せませんでした。東電は同案では「根本的な解決にならない」としましたが、根拠を問われても説明できず、海洋放出は政府の方針だと開き直りました。

 海洋放出の費用総額について経産省は、把握分だけで800億円と回答。東電は答えませんでした。ただ東電の過去の公表資料で、処理水関連の事業について3年間で437億円余りの費用を計上しており、合計すると少なくとも1200億円規模になります。

 方針決定の根拠の一つとされた国の作業部会の報告書(2016年)は、海洋放出について期間は91カ月、費用は34億円などと試算していました。現在の計画が、期間は30年規模、コストが1200億円となったことに対し「固執するから、こういうことになる」と声があがりました。

 また、他の3団体とともに呼びかけた、海洋放出を撤回し地上での保管と固化方針への切り替えを求める国際署名(西村康稔経産相あて)2万8627人分を提出しました。

(「しんぶん赤旗」2023年8月18日より転載)