脱炭素などを口実に原発回帰に大転換する原発推進等5法案の参考人質疑が25日の参院経済産業委員会で行われました。
NPO法人・原子力資料情報室の松久保肇事務局長は、国が「福島の声に全く耳を傾けてこなかった」と批判し、いまだ数万人もの避難者がいるもとで「非常に大きな問題だ」と強調。被害者を招いた公聴会の開催などを要求しました。
また、新設原発の建設期間は長期化傾向にあり、G7で合意している「2035年までの電力部門の脱炭素化」にも間に合わず、「全く役に立たない」と断言しました。
日本共産党の岩渕友議員は、国民の声を聴くべき理由を質問。松久保氏は、自身も原発事故に大きな衝撃を受け「原子力と人類は共存できない」との思いを述べ、福島や国民の声を聴かないことは「非常に残念だ」と語りました。また、若者も気候変動への危機感を持ち、脱炭素社会を遅らせる原発推進政策に「憤りを持っている」と語りました。
岩渕氏は、「脱炭素というのであれば、世界の流れを見ても再生可能エネルギーの導入を進めるべきだ」とし、原発と再エネのコストについて質問しました。
松久保氏は、原発は新設も既設もコストが上昇している一方、再エネのコストは下落し、原発は競争力がないと述べ、「電力会社が原発の巨額の新設コストを負担できず、経産省は建設費などを消費者に転嫁する方針を示している」と指摘しました。
(「しんぶん赤旗」2023年5月26日より転載)