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市田書記局長の参院代表質問・・原発汚染水の現実を認め、抜本解決を最優先に/首相答弁要旨

日本共産党の市田忠義書記局長が10月18日の参院本会議でおこなった、原発問題について代表質問をおこなった要旨は次の通りです。

原発汚染水の現実を認め、抜本解決を最優先に

福島第1原発の放射能汚染水問題は極めて深刻な現状にあります。総理が、「コントロールされている」「完全にブロックされている」と発言した後でも、「汚染水タンクからあふれだした」「パイプの継ぎ目から漏れていた」「港湾だけでなく外洋にも直接漏れ出していた」など、ほとんど連日のように新たな、汚染の広がりが続いています。東電の広瀬社長は国会で「もぐらたたきのような状態が相変わらず続いているのは全くの事実だと思う」と述べ、コントロールとは程遠い状態にあることを認めざるを得ませんでした。総理、あなたは、汚染水の現状がどうなっているのか、何がわかり、何がわかっていないのか、どこに問題と危険があるのか、国民にはっきりと説明することができますか。

それもできないのに、国際社会にたいして総理は「日本は原発の安全技術でこれからも世界に貢献していきます。放棄することはありません。福島の事故を乗り越えて、世界最高水準の安全性で、世界に貢献していく責務がある」と述べ、原発の再稼働と輸出に異常なほど執心されています。

目の前で繰り返されている現実、「いったん事故が起きたら制御できなくなるのが原発という技術」であるということ、しかも発電によって蓄積される放射性廃棄物の処理方法すら確立されてはいないことを、総理は率直に認めるべきであります。

いま原発は1基も稼働していません。それでも国民生活は維持され、そのことによる経済の破たんもありません。この時をおいて「原発ゼロ」の決断をするときはないではありませんか。いかがでしょうか。

そしていま直ちにやるべきは、原発への態度や将来のエネルギー政策の違いを超えて、汚染水問題の抜本的解決を最優先に据えるために、再稼働と原発輸出のための準備や活動を中止することではありませんか。

安倍晋三首相の答弁

市田参院議員が行った質問に対する、安倍首相の答弁要旨は次の通りです。

【汚染水問題について】

福島第1原発では、貯水タンクからの汚染水漏えいなどの個々の事象は発生していますが、福島近海での放射性物質の影響は発電所の港湾内の0・3平方キロメートルにブロックされています。このため全体として状況はコントールされております。汚染水問題について現在分かっていることについては、汚染水問題に関する基本方針のなかで、問題とその対応策を明らかにしております。

他方、汚染水問題については、現在の対策では十分ではないリスクがあります。このため、予防的かつ重層的な対策を講じるべく、世界の英知を活用し、汚染水問題の解決に向けた取り組みをしっかりと進めてまいります。

【原発の安全性と放射性廃棄物の処理について】

原発については、安全が最優先であります。原子力規制委員会において、世界で最も厳しい新規制基準を策定したところです。新基準では、東京電力福島第1原子力発電所の事故の教訓をふまえ、地震や津波に耐える性能の強化にくわえ、巨大地震や大津波により、一万、過酷事故が発生した場合に対する十分な準備を取り入れています。

高レベル放射性廃棄物の最終処分方法としての地層処分については、技術的に実現可能であると評価されています。もちろん、現在も処分地選定調査に着手できていない現状を真摯(しんし)に受け止めなければなりません。国として処分地選定に向けた取り組みの強化を、責任をもって検討してまいります。

【原発ゼロについて】

原発の停止によって、わが国は、石油などの化石燃料への依存を高めています。このため、3兆円以上の燃料輸入費の増加や、電力料金の上昇という形で、国民生活やわが国の経済が大きな影響を受けているということを忘れてはなりません。原発を含むエネルギー政策については、引き続き、エネルギーの安定供給、エネルギーコスト低減の観点も含め、責任あるエネルギー政策を構築してまいります。この際、今後、3年程度の間に、再生可能エネルギーの普及と省エネルギーの推進を最大限加速させていくこと、原発の再稼働については、世界で最も厳しい安全基準のもとで判断していくことに取り組むこととし、原子力比率は可能な限り、引き下げてまいります。

【原発輸出について】

福島第1原発事故の経験と教訓を世界に共有することにより、世界の原子力安全の向上に貢献していくことがわが国の責務であると考えています。

相手国の意向や事情をふまえつつ、わが国の技術を提供していく考えです。

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