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おはようニュース問答 ドイツで原発が全面的に運転停止になったね

最後まで稼働していたエムスラント原発前に集まる人たち=15日、ドイツ西部・リンゲン(桑野白馬撮影)

 のぼる ドイツで原発が全面的に運転停止したって本当?

 晴男 そうだ。ドイツで最後まで稼働していた原発3基が15日、運転停止し、ドイツの原発の歴史は終わった。

 のぼる ドイツの脱原発の歴史って長いの?

安全神話が崩壊

 晴男 ドイツでは1970年代から脱原発運動が広がってきた。旧ソ連、今のウクライナのチェルノブイリ原発で86年に爆発事故があり、ドイツ政界にあった「原発安全神話」が崩壊し、脱原発運動は加速し、政界も動きはじめた。

 のぼる 具体的には?

 晴男 80年代に脱原発派の政党「緑の党」が連邦議会に進出し、98年に発足のシュレーダー政権で初めて政権入りをし、脱原発で合意した。シュレーダー政権は電力業界とも原発全廃で合意し、02年には21年までに全原発停止を決め、再生可能エネルギーへの転換も本格化に進めた。

 のぼる それにしても長い時間かかったね。

 晴男 いろいろとあったからだ。次のメルケル政権が10年に、脱原発の見直しを表明して、市民から大反発を招いた。

3・11が転換点

 のぼる その翌年は、福島第1原発の爆発事故が起きた年だね?

 晴男 その通り、原発が危険だと世界中が知った年だった。ドイツの脱原発の流れは確定した。

 のぼる メルケル政権も変わったの?

 晴男 メルケル首相も福島の事故について「世界にとっての転換点」と述べ、脱原発を明確にした。ショルツ現政権もこの方向を引き継いだが、ロシアのウクライナ侵略戦争によるエネルギー危機で、当初は昨年末停止予定だった今回の原発3基を延長していた。しかし再延長しなかった。

 のぼる 再延長しなかった理由は?

 晴男 ロシアによるウクライナのザポロジエ原発の爆撃が一因だ。ショルツ政権のレムケ環境相は「原発は制御できない。戦争の標的になり、戦争を念頭に置いた防御は不可能だ」と述べ、脱原発は正しいと主張した。

 のぼる 大賛成だ。一方、日本政府は、やめるどころか増やそうとしている。本当に嫌になる。

 晴男 あきらめないのが大切だ。ドイツの経験からも声をあげれば政治は変わると思いたい。

(「しんぶん赤旗」2023年4月27日より転載)