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レーダー 原発再稼働 メディアの迎合

 「朝日」世論調査(21日付)で、停止中の原発の運転再開について「賛成」が51%と、東京電力福島第1原発事故後、初めて過半数(「反対」42%)になったことは驚きでした。

 これは、第2次安倍政権以降のメディアへの強力な圧力・介入と、それに迎合したメディアが無関係ではないでしょう。

 福島市在住のNHK元ディレクターで、「NHKとメディアを語ろう・福島」代表の根本仁さん(74)は、「福島の原発や沖縄基地などマイナスイメージの国策報道は全国ニュースで流さず、福島・沖縄向けのローカルニュースだけに押し込めるという、NHKニュースの二重基準の徹底ぶりも大きく影響したのではないか。だから、多くの国民が“福島の原発事故はもう終わったんだよね”と思い込むのも無理はない」と指摘します。

 たとえば、ことし2月7日夕、NHK福島と複数の民放は、「本日水揚げされたスズキからセシウム137が1キロ当たり85・5ベクレル検出され、福島県漁連は出荷を停止し、当面は出荷を自粛する」というニュースを報じました。しかし、NHKの全国ニュースは、基準値超えの放射性物質の存在という原発事故の“負の遺産”を報じませんでした。

 岸田政権は、タンクにたまった「放射能汚染水」を「処理水」や「処理途上水」などの名称に読み替えることでごまかし、海洋放出を実施しようとしています。東電も海洋放出に向けた工事を着々と進めています。NHKの報道姿勢は、こうした国・東電の「原発事故は終わった」とする世論形成に加担するものです。

 福島では、いまだに多くの住民が故郷に戻ることができず、生業(なりわい)の再建、地域の復興は、ほど遠い現状です。にもかかわらず、岸田政権は、「グリーン」への転換などと称して原発60年超の運転、新増設を閣議決定。規制するはずの原子力規制委員会も、石渡明委員の一貫した反対意見を無視し、多数意見という形でそのまま容認しました。

 原発事故から12年となる今、メディアの責任が改めて問われています。(藤沢忠明)

(「しんぶん赤旗」2023年2月27日より転載)