東北電力女川原子力発電所(宮城県女川町、石巻市)の過酷事故を想定した広域避難計画の実効性を争点に、東北電力を相手に石巻市の住民17人が再稼働の差し止めを求めた訴訟の第5回口頭弁論が11月28日仙台地方裁判所であり、結審しました。判決は来年5月24日。
原伸雄原告団長は意見陳述で、避難計画の実効性確保は住民の命にかかわる問題だと強調。放射能汚染を調べる検査所は、殺到する住民の車の大渋滞で開設できず、高齢者などの避難用バスは確保も手配もできないと指摘し、「避難計画は絵に描いた餅だ」と批判しました。
原告の主張に反論しない東北電力に対し、「責任感の欠如を感じる」と訴え、「明確な判断を」と裁判所に求めました。
裁判後の報告集会で小野寺信一弁護団長は、東北電力は事故発生の具体的危険性を立証する必要があるとの主張だが、原子力規制委員会も事故を前提とした避難計画が必要との立場だと指摘。裁判では最終的に「検査場所が開設できず、バスも来ない」の2点に論点を絞ったと語りました。
女川原発をめぐっては、村井嘉浩知事が2020年11月に再稼働への同意を表明し、東北電力は24年2月の再稼働を目指しています。
(「しんぶん赤旗」2022年11月29日より転載)