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原発事故 賠償基準見直しへ・・「故郷喪失」対象拡大など

福島第1原発=2021年2月5日(本紙チャーター機から佐藤研二撮影)

 東京電力福島第1原発事故をめぐり原子力損害賠償紛争審査会(会長・内田貴東京大学名誉教授)は10日、国の賠償基準の「中間指針」を上回る賠償額を認めた判決を分析した専門委員の最終報告書で、指針に含まれていない「故郷喪失・変容による精神的損害」の対象拡大など5項目の損害も賠償の対象にするよう求めているのを踏まえ、第5次追補として指針を見直しすることを決めました。

政府の審査会

 指針は2011年8月に策定され、見直しは13年12月の第4次追補以来、9年ぶり。見直しの具体的な内容は今後の審査会で検討します。

 審査会で示された最終報告書は、指針を超える賠償を東電に命じた7件の高裁判決を分析。「故郷の喪失・変容による精神的損害」の対象拡大などについて「新たに類型化された損害を取り込む努力・工夫が求められる」と明記しました。

 報告書は、避難区域から「着の身着のまま取るものも取り敢(あ)えず」の過酷な状況で避難を強いられたことによる精神的損害について、指針が「十分に考慮しているとは言い難い」として慰謝料加算が適切との考えを示しました。

 「故郷喪失・変容による精神的損害」については、帰還困難区域と同様に居住制限区域と避難指示解除準備区域でも独立した損害項目として、各判決の慰謝料総額も参考に慰謝料を算定することが合理的と指摘しました。

 また、「自主的避難等による精神的損害」では、妊婦や子ども以外の人も放射線被ばくやその後の事故の深刻化に対する複合的な恐怖・不安があったとして、慰謝料の上乗せを要請しました。

 一方、被ばくの不安を抱く相当の理由があるとする自主的避難等対象区域の拡大などについては「慎重に対応すべきだ」としました。

 現行の指針では避難による精神的損害として、1人月額10万円の慰謝料を目安としています。しかし、最高裁で3月、指針を上回る賠償を命じた7件の高裁判決が確定しました。

専門委員の最終報告書

・過酷避難状況の精神的損害は慰謝料の加算要素に

・故郷の喪失・変容に対する慰謝料の対象を拡大

・相当量の線量地域に一定期間滞在した健康不安に基づく慰謝料を加算要素に

・子どもや妊婦以外のおとなの自主避難の賠償期間拡大

・通常の避難者と比べ苦痛が大きい要介護状態などは賠償増額に

(「しんぶん赤旗」2022年11月11日より転載)