【ストックホルム=桑野白馬】ドイツ政府は9月5日、年末に稼働停止予定だった2基の原子力発電所を、来年4月まで非常用として稼働できるように維持すると発表しました。ハベック経済・気候相は、ロシアによる欧州への天然ガス供給の停止を受けてエネルギー価格が高騰するなか「必要なことはすべて行う」と主張。冬の間に十分な電力を確保するためだと説明しています。一方、従来の原発全廃方針は維持します。
ドイツ政府はメルケル前首相時代に、22年末までの脱原発を決定し、順次停止を進めてきました。現在も残る3基のうち、南部のイザール原発2号機とネッカーウェストハイム原発2号機の2基を送電網から切り離すものの、電力需要の高まりに備える予備電源として待機させます。西部のエムスラント原発は予定通り停止予定です。
ハベック氏は「原子力はリスクの高い技術で、放射性廃棄物は世代を超えて負担となる」として「脱原発を堅持する」とも述べており、来年4月以降の脱原発方針に変更はないとしています。
(「しんぶん赤旗」2022年9月7日より転載)