東京電力福島第1原発事故の国の賠償基準となる「中間指針」を議論する文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審、会長・内田貴東京大学名誉教授)が8月8日、開かれました。
事故の賠償をめぐっては、避難した住民らが国や東電に損害賠償を求めた7件の集団訴訟で「中間指針」を上回る東電の賠償責任が最高裁決定で確定しています。原賠審はこれを踏まえ、「中間指針」の見直しの要否を検討するため、担当する専門委員を選任し、各判決について調査・分析をすることになりました。
この日の会合では、▽「避難を余儀なくされた」ことによる慰謝料▽故郷の喪失・変容による慰謝料▽自主的避難による慰謝料―の三つを個別論点として検討するとしました。8月末には審査会として福島県を訪問して被害者の意見を聞き、被災地域の現場も視察することになりました。
4月の審査会では、夏をめどに調査・分析の中間的な内容を報告するとしていましたが、「難しい論点が多岐にわたっている」として、次回の審査会に先送りするといいます。
(「しんぶん赤旗」2022年8月11日より転載)