田植えが終わったばかりの水田は、キラキラと輝いていました。ヒバリのさえずりやカエルの鳴き声が耳に心地よい。大型連休中、福島県の浜通りまで足を延ばしました▼Jヴィレッジ(楢葉町)で開かれたサッカー大会観戦が目的です。各地から参加した14歳以下の選手たちが汗や涙を流していました。激しいたたかいを繰り広げながら、ピッチ外ではチームを超えて笑い合う姿も。参加した息子は心身ともに一回り大きくなりました▼天然芝のフィールドが魅力のJヴィレッジ。11年前の東京電力福島第1原発事故直後、さま変わりしました。サッカー選手育成の活動拠点から原発事故対応の拠点に。ふかふかの芝は砂利に代わり、駐車場などとして使用されました。数千人規模の作業員が毎日ここで作業服に着替え、原発に向かいました。施設内に展示された当時の写真を見ると胸が痛みます▼ロシアが侵攻するウクライナでは、発電電力量の約50%を原発にたよっています。ロシア軍が欧州最大級のザポロジエ原発を攻撃したとき、各地でチェルノブイリや福島原発事故の悲劇を繰り返すなと非難の声が上がりました▼侵略やめよの声がサッカーをはじめスポーツ界からも上がっています。たたかいの中でお互いを尊重し合う精神を育むことができるスポーツ。平和でなければ成り立ちません▼Jヴィレッジわきの国道を北上すると、原発事故の爪痕がいまだにあります。戦争も原発もなくしたい。子どもたちがスポーツで成長できるように。
(「しんぶん赤旗」2022年5月14日より転載)