日本共産党嶺南地区委員会 > しんぶん赤旗 > 「処理水は無害」 中学校にチラシ・・岩手・久慈 国が放射線副読本とセット配布

「処理水は無害」 中学校にチラシ・・岩手・久慈 国が放射線副読本とセット配布

「安全面」列挙し問題点に触れず

 「誤った情報に惑わされないために。誤った情報を広めて、苦しむ人を出さないために。」―。福島第1原発事故のALPS処理水(汚染水)の海洋放出に反対する声が高まる中、経済産業省と復興庁がこんな見出しのチラシ(写真)を生徒向けに作成し、岩手県内の中学校へ配布要請していたことが、28日までに分かりました。

 久慈市の中学校関係者が市議会会派の「立憲・みどりクラブ」の議員に「こんなチラシが生徒にまかれている」と知らせて発覚しました。

「家庭でも活用」

 関係者によると、文部科学省からこの中学校へ届いた「放射線副読本」(2021年度1学年分)の段ボール箱の中に副読本と同数のチラシが入っていました。経済産業省と復興庁の連名の連絡文書が同封され、副読本と合わせて「積極的な活用を」と呼びかけ、家庭での活用まで書かれていたといいます。

 チラシ配布を深刻に受け止めた市議は、27日に日本共産党市議団(2人)と相談。直ちに共産党と同クラブの計4人が遠藤譲一(じょうじ)市長と後(うしろ)忠美教育長に対し、緊急の申し入れをしました。

 後教育長は、配布要請は文科省と学校との直接のやりとりで、市教委は実態をつかめていないと困惑。遠藤市長は「副読本の配布は国の方針だが、それと一緒にこのチラシも配るのは乱暴すぎる」と不快感を示しました。

 汚染水をALPSで浄化処理しても、放射性のトリチウムは取り除けません。しかし、チラシでは、▽トリチウムは身の回りにたくさんある▽健康への影響は心配ない▽トリチウム以外の放射性物質は徹底的に取り除き、大幅に薄めてから海に流す―などと「安全面」を列挙。問題点や住民の不安には全く触れていません。

市は反対を表明

 久慈市議会は21年6月、処理水の海洋放出決定の撤回を求める意見書を可決し、遠藤市長も海洋放出反対の立場を表明しています。共産党の城内仲悦市議は「学校を使ってこんなチラシをまく国のやり方は、ひきょうだ」と話しています。

(「しんぶん赤旗」2022年1月29日より転載)