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独 原発3基31日停止 全廃政策 新政権も継続/22年 残る3基も停止、廃炉へ

 ドイツで、メルケル前政権が福島第1原子力発電所事故を受けて決めた原発全廃政策の一環として、原発3基が31日、稼働を停止します。同政策はショルツ新政権にも引き継がれ、2022年には残る3基が稼働を停止します。(片岡正明)

 31日に停止するのは北部のブロックドルフ、中西部のグローンデ、南部グンドレミンゲンの3基。ドイツ政府によると、同国の総発電量に占める原子力発電の割合は21年の14%から22年は7%になります。

 政府は21日の発表で「核技術はなお人間と環境にとって危険なものであり、それゆえ稼働を停止しなければならない」と表明。原発全廃の必要性を改めて強調しました。

 メルケル前首相は11年3月の福島原発事故直後、放射性物質もれを伴う原発事故の深刻さを指摘し、「人間の保護を第一に置く。妥協は許されない」と発言。すぐさま国内にある17基の原発のうち、老朽化した7基の運転を停止し、同年6月に原発撤退を法制化しました。これまでに11基が停止しています。

 その一方で、地球温暖化対策として石炭などの化石燃料の削減も劇的に進めました。発電による二酸化炭素排出量は10年比で40%減っています。30年には石炭火力発電を完全停止します。

 代わりに、太陽光や風力など持続可能なエネルギーによる発電を増大させ、30年には全発電量の80%にする計画です。

 22年に稼働停止するのは北西部のエムスラント、南部のイザール、ネッカーウェストハイムの3基。原発の解体作業は30年代まで続く見込みです。廃炉で出る廃棄物は8万9000トンと見込まれており、最終的な処理と保管をどうするのか、問題は山積みです。

 ベルギーやスペインなどは原発全面停止を計画する一方、フランスなどが地球温暖化対策で原発を再評価し、小型原発建設や古い原発の稼働延長をする動きも出ています。

 チェコやフランスなどドイツと国境を接する国々での老朽原発の問題も残されたまま。欧州連合(EU)全体で原発をどうするのか、論争が続いています。

(「しんぶん赤旗」2021年12月29日より転載)