東京電力は11月6日、使用済み核燃料の取り出しが今月中旬から計画されている福島第1原発の4号機などを報道陣に公開しました。同原発の小野明所長は「本当の意昧での廃炉作業が始まる」としていますが、依然として現場には重い課題がのしかかっています。
(三浦 誠)
水素爆発で原子炉建屋の上部が吹き飛ばされた4号機は、真新しいカバーで覆われていました。薄暗い最上階に上がると、くすんだ青色の水の底に1533体もの使用済み核燃料がありました。
核燃料のうえには爆発で飛び散った中小のコンクリート破片が。東電の担当者は「大きなガレキは取り除いたが、細かなのはこれから。燃料棒をクレーンでつり上げるときに、ガレキがひっかかって停止するリスクがある」と説明します。
水から出した使用済み核燃料は、近づけば人が死亡するほどの放射線量を発します。ミスが許されない慎重な作業が必要です。
取り出した使用済み核燃料は建屋から約100メートル離れた共用プールに保管します。しかし、その先の処分方法はまったく定まっていません。
いまだに見通しがたっていないのは1~3号機の廃炉作業。溶融(メルトダウン)した核燃料の状況を把握できていないからです。
この日、3号機タービン建屋前の放射線量は毎時820マイクロシーベルト。1
時間ちょっとで一般の人が1年間に許容されている線量を超える値です。
ベテランのある現場作業員はいいます。
「3号機は、プルトニウムとウランを混合したMOX燃料を使っていたので特に線量が高い。いまは人海戦術で作業をすすめている。作業員の安全と健康を保障せずして廃炉作業はすすまない」
「しんぶん赤旗」・・報道公開初参加
報道公開に「しんぶん赤旗」が参加したのは今回が初めて。当初、東電は「赤旗」を排除していました。しかし本紙やジャーナリストたちの抗議で、政党機関紙にも、くじ引き抽選のうえで参加を認めるようになりました。福島第1原発報道公開の詳報は、「しんぶん赤旗」日曜版(17日号)で予定しています。