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九電・玄海原発訴訟 吉井英勝元国会議員の意見陳述から(上) 日本は再エネの宝庫

ビルのお屋上を利用して設置された太陽光発電パネル

 九州電力・玄海原発(4基)の差し止めを求める訴訟の口頭弁論が10月29日、佐賀地裁で開かれました。全電源喪失によって原発の過酷事故が起きることを予見し、原発の危険性を追及してきた、日本共産党の元国会議員、吉井英勝さんが意見陳述しました。その一部(要旨)を上下で紹介します。

 私は現在、原発に頼らない再生可能エネルギーによって、放射能もCO2の心配もない社会を実現させることに全力を注いでいます。

 電力会社と政府は、原発をなくすと火力に頼ることになる、炭酸ガスを放出するのは困るのではないか―などと言ってきます。原発は、緊急停止などの事故時には近隣の火力発電所からの応援なしには炉心冷却が難しく結局、火力発電を当てにしないと成り立たないシステムです。

住民自治が基本 地域経済発展で

 石炭火力などが稼働時にCO2を排出するのは事実で、石炭火力の廃止にも踏み切る必要があります。それでは日本の電力をどうするのか。

 それは省エネルギーで無駄を徹底的に削り、高度成長期型、一極集中、多消費構造の転換が第一。電力は100%再生可能エネルギー(再エネ)に向けて、国として研究・開発・再エネ設置への財政支援などを進める必要があります。

 再エネは、地域ごとの地理的状況に応じて選択することが重要で、それに詳しいのは地元住民です。その地域にどんな再エネがむいているか、工事用資材や機材の搬入はどうするか。地域の農林漁業や中小企業に仕事がまわるような仕組みをどうつくっていくか。

 地域の手で再エネ発電所をつくる時の支援をどうするか。地域の環境を守り、再エネで脱炭素の地域をつくるために自治体が条例を作り、基金を設けるときに財政支援をどのようにするか。地域の住民の間でよく議論して、住民が主人公になるエネルギーと環境を生み出し、地域経済が持続可能な発展をするように取り組むことが大事です。

 私はそのモデルになる地域を見てきました。高知県梼原(ゆすはら)町、岡山県真庭市、岩手県葛巻町、長野県飯田市など全国にあります。ドイツのフライブルク市、シェーナウ、フライアムト村など、勉強材料が豊かにあります。

 しかし大事なことは、地域にどのような再エネが存在しているかを知ることです。そして、外部から資本力のある勢力が乗り込んできて自然環境の破壊、地域破壊につながる動きは即座にシャットアウトすることです。

 地理的条件にあったエネルギーを見いだして、住民が中心になって企業体をみんなで作って取り組む。仕事が地域の中小企業や農林漁業者に回ってくるものにする。ここには住民自治の考え方が基本にあります。憲法の地方自治の立場に立って、エネルギーが民主主義の学校になる道です。

最近の異常気象 原発の危険露呈

意見陳述の後、原告の人たちと交流する吉井さん(中央、ネクタイの人)=10月29日、佐賀市

 最後に裁判官のみなさんに訴えます。

 私は国会議員として、原発事故から住民を守る、地域社会を守る活動に精力を注入してきました。しかし、福島原発事故が起きてしまいました。政府や電力会社の姿勢を見ていると、再び福島事故のような大惨事が起こる可能性があります。

 また、最近の異常気象による災害の発生は、原発を一層危険なものにしています。私が国会でその危険性を訴えて警告をしても無視され続けたのは、電力会社が利益のために稼働率を上げることを最優先するからです。こんな危険な原発の運転は、すぐにやめるべきだと思います。

 日本は再エネの宝庫です。その技術も能力もあります。再エネの普及は地方の過疎化も阻止できる明るい展望があります。どうか、裁判所が原発を止める判決を出されて、再エネへの大きな流れをつくられることを切にお願いします。(つづく)

(「しんぶん赤旗」2021年11月26日より転載)