敬三 運転から44年の老朽原発をまた稼働させるなんて。心配だよ。
みどり 関西電力の美浜原発3号機の再稼働ね。老朽原発は原子炉の金属がもろくなる温度が高くなるし、耐震性やケーブルの防火性能、設計の古さなどの問題もある。
既成事実が狙い
敬三 だいたい東京電力福島第1原発事故は、1号機が運転開始から40年を迎えようという月に発生したんだ。1号機で真っ先に炉心が溶融して建屋が爆発した。
みどり そうだった。1号機の爆発で2、3号機への対応はよけい困難になって結局、3基の原子炉で同時に炉心溶融する前例のない事態になったんだよね。
敬三 それに福井県の若狭地域は、原発の集中立地が問題の地域だ。
みどり 原子力規制委員会の審査を合格した関電の7基の原発はどれも若狭地域。そのうち5基がすでに運転中よ。
敬三 大きな地震でも起きて複数の原発で事故になれば、対応も困難だし、避難もできないじゃないか。
みどり でもテロ対策施設の完成が猶予期限に間に合わないから、10月には美浜3号機は止めないといけないそうよ。同じ老朽原発の関電高浜原発1、2号機は、テロ対策施設の猶予期限が6月なので今年中の稼働は無理だし。
敬三 4カ月でも今年中に老朽原発の再稼働という既成事実を作りたかったんじゃないか。
みどり 経産省の資源エネルギー庁の幹部が幾度も福井県に出張し、再稼働への同意を働きかけたそうね。
敬三 資源エネルギー庁は、40年超の原発再稼働で福井県に1原発で25億円の交付金を出すと約束したそうだな。
再エネ普及こそ
みどり 政府は2050年の温室効果ガス排出の実質ゼロのために原発が必要といってる。でも原発は、事故を起こせば深刻な被害が出るし、使用済み核燃料の問題も未解決で、再生可能エネルギーの障害になる。
敬三 原発の新増設や建て替えが見通せないので、原発業界の存続のためにも老朽原発を使い続けようとしているんだ。老朽原発の酷使は無謀だ。一刻も早く、原発をやめて再エネの普及に切り替えるべきだ。
(「しんぶん赤旗」2021年7月9日より転載)