デブリ 長期遮へい可能か・・原子力市民委員会が議論
東京電力福島第1原発事故の後始末について考えるオンライン企画が5日、開かれました。事故を収束させるうえで難関である核燃料デブリの取り扱いをめぐり、取り出しの困難さ、「長期遮へい管理」の安全性や技術的経済的な可能性について議論しました。主催は原子力市民委員会。
同委員会の技術者メンバーが、コンクリートや鋼材と溶け合ってくっついたデブリを全量取り出すのは困難であり、原子炉格納容器内は高い放射線量のため人が近づけない問題を指摘。急いで取り出す方針を転換し、空冷化システムを構築して現在の位置で長期間保管する方策の検討結果を紹介しました。
処理後の汚染水を薄めて海洋放出する計画の代替策として、(1)大型タンクによる長期保管、(2)モルタル固化による永久処分の実現性を説明しました。
同委員会の大島堅一座長(龍谷大学教授)は、原発事故の後始末の背景にある「無責任の構造」を強調しました。事故後30~40年で廃炉するという政府・東電の計画が事実上、失敗しているのに、廃炉が進んでいるかのように説明した結果、次世代にツケが回る問題を指摘。こうした問題がみえなくされている構造を「市民の目で打ち破っていくことが大事だ」と訴えました。
内容物不明のコンテナ4000基・・福島第1原発構内
東京電力福島第1原発の構内に、内容物がわからずに置かれたコンテナが約4000基あることがわかりました。東電が5日、明らかにしました。東電は記録と照合しながら内容物を確認するとしていますが、確認が難しいものもあるといいます。
東電はまた、構内の旧研修棟東側に置かれたコンテナ4基について、管理されていなかったことを発表しました。東電によると、福島県から3月末に問い合わせがあって調査。表面から1センチの場所で毎時最大1・5ミリシーベルトの線量が確認されました。内容物などはわからないため、今後、調べるといいます。
福島第1原発では先月、腐食したコンテナから高線量のゲル状の塊が流出した可能性が指摘されています。腐食した箇所があったことから該当のコンテナ内を調べたところ、事故後の作業で汚れをふき取った布などがビニール袋で小分けされた状態で収納されており、底は湿った状態だったといいます。
(「しんぶん赤旗」2021年4月7日より転載)