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おはようニュース問答・・福島原発事故 国の責任認めたね

判決結果を知らせる垂れ幕=3月26日、福島地裁いわき支部前

 陽子 東京電力福島第1原発事故で精神的被害を受けたとして、国と東電に損害賠償を求めた裁判で、国に責任があると認めた判決が出たね。

いわき市民1500人

 夏江 ええ。事故当時に福島県いわき市に居住した市民約1500人が原告の「いわき市民訴訟」のことね。福島地裁いわき支部(名島亨卓裁判長)は先月、国と東電の共同責任を認め、計約2億円の支払いを命じたの。全国で約30ある同種の訴訟で、国を被告にした一審判決は15件目で、8件が国の責任を認めたのよ。

 陽子 国の責任をどう判断したわけ?

 夏江 国は遅くとも2009年8月までには、02年に公表された政府の地震調査研究推進本部の地震予測「長期評価」を原発の津波評価に取り込んで対策するべきだったというの。その上で、東電に対して改善を求める命令を出す義務があったのに怠ったことは「違法」と断じている。

 陽子 09年8月というと、3・11まで2年もないけど、事故を防ぐことができたかどうかの判断は?

 夏江 判決は、同じ太平洋沿岸に東海第2原発を持つ日本原子力発電が行った当時の建屋の水密化工事が検討から対策完了まで1年半程度だったことを取り上げている。これを根拠に、建屋の浸水防止工事がされていれば「事故は回避できた可能性がある」と判断したのよ。

実相を直視せず

 陽子 原告はすべて避難指示区域外のいわき市の市民だというけど、被害はどう認められたの?

 夏江 事故直後2カ月のいわき市の状況について判決は「事実上避難を強いられる状況にあった」と認定している。避難せずに同市に滞在した住民は「避難した者と何ら変わりがない精神的苦痛を受けた」として国の指針を若干超える慰謝料の支払いを認めたよ。

 陽子 でも、原告団・弁護団は「被害の実相から目をそらす不当なもの」と声明を出したね。

 夏江 ええ。判決後、伊東達也原告団長は「この判決をもっといいものに、大運動を展開したい」と表明し、弁護団の広田次男弁護士も「この勝利を仙台高裁において早い時期に確定させたい」と話していたよ。

(「しんぶん赤旗」2021年4月3日より転載)