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東日本大震災・原発事故10年 被災者は 原発は いま・・みやぎ県民センター 小川事務局長に聞く

宅再建へ国は先頭に

 東日本大震災から10年を迎え、被災者の住宅再建の現状と課題について、「東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター」の小川静治事務局長に聞きました。(中川亮)

 宮城県では、東日本大震災により全壊・半壊となった被災住宅は約24万棟にのぼり、県内の住宅総棟数の4割を占めます。

 一人ひとりの暮らしの復興の大前提となるのが、住まいの確保です。しかし十分に救済されないまま10年が過ぎてしまいました。

 現在の被災者生活再建支援金(上限300万円)が絶対的に足りないという大きな問題があります。

「修繕」多い

 宮城県では、新築などよりも「修繕」を行っている被災者が多いのが特徴です。被災者生活再建支援金の支給決定件数のうち、修繕の割合は宮城で37%にのぼり、岩手15%、福島24%と比べても高くなっています。

 修繕は十分にできていないのが実態です。いわゆる「在宅被災者」は「全壊」の家であっても2階に住み続けたり、風呂やトイレが使えなかったり、不自由な生活を強いられています。

 被災者生活再建支援法は、支援金額の大幅な引き上げをはじめ、国の制度として充実すべきです。昨年11月の法改正で「中規模半壊」まで支援対象が広がったことは前進ですが、損害割合30%未満の半壊や一部損壊は支援対象になりません。支援法は「10世帯以上の住宅全壊」がなければ適用されず、こうした要件は取り払うべきです。

教訓生かし

 都道府県による独自の住宅再建支援制度も必要です。

 2016年の鳥取県中部地震では、県が住宅被害への支援金として、損害基準判定で4%超(5万円)から1%以下(1万円)まで支給する独自の制度をつくりました。疲弊する被災者が住宅再建をあきらめてしまわないように、まず、“行政は被災者を見捨てない”と励ますメッセージを発することが大切です。

 東日本大震災で住宅被害が最も大きかった宮城県に独自の支援制度がないのは恥ずかしいことです。

 被災者救済を進める上で、行政が実態を調査、把握することは不可欠です。

 今後、南海トラフや首都圏直下の巨大地震がいつ起きてもおかしくない。政府は過去の災害の教訓を生かしきれていない現状を直視し、被災者救済、継続的な支援で先頭に立つ決意を示すべきです。

(「しんぶん赤旗」2021年3月11日より転載)