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賠償請求 時効延長を・・福島第1事故 日弁連がセミナー

 日本弁護士連合会(日弁連)は2月25日、今年3月に10年となる東京電力福島第1原発事故による損害賠償請求権の時効問題について、被害者の賠償請求をめぐる状況を報告し、時効の再延長の必要性を考えるセミナーを東京都内で開きました。

 日弁連の荒中(あら・ただし)会長はあいさつで「この10年間、原発の被害にあった方々の救済に当たってきましたが、残念ながらまだまだ(救済から)もれてしまっている方々がいる。時効期間の延長を求めてきましたが、今日に至っている」と述べました。

 福島第1原発事故による損害の請求については、2013年に特例法が施行され、民法で3年とされている時効が10年に延長されました。しかし、福島の被害は現在も継続しており、被害者が損害請求することに困難があるため、日弁連は昨年3月、時効期限を20年に延長することを求める意見書を発表していました。

 東電は19年、時効を理由に「一律に賠償請求をお断りすることは考えて」いないなどと表明しています。また、策定中の次期総合特別事業計画に時効に関する東電の考えを明記する方向での対応が取りざたされています。

 日弁連災害復興支援委員会委員の平岡路子弁護士は、東電は第2次、第3次の総合特別事業計画で「和解仲介案の尊重」など損害賠償に関して「3つの誓い」を示していながら、実際はADR(裁判外紛争解決手続)の集団申し立てに対して、和解案を軒並み拒否している現状を指摘。「東京電力に任せるだけでは時効問題の解決は図れない。立法措置によって時効を延長し、被害者が安心して請求できるようにすることが必要」と述べました。

 同委員会幹事の小林素弁護士は、不安定な生活の中で証拠資料の収集が困難であったり、賠償請求の対象となることを知らないなど被害者の実情を紹介。「時効が来ると、権利の行使自体が立ち行かなくなる事例が多く存在する」と懸念を表明しました。

 槇裕康・福島弁護士会会長は「ADRがきちんと機能して10年。東電自らがADRを機能させていない。前提が崩れている」と強調しました。

(「しんぶん赤旗」2021年2月27日より転載)