東京電力福島第1原発で作業員のボタンの押し間違いによる1号機原子炉格納容器の排気ファンが全台停止し、溶け落ちた核燃料の監視が一時的にできなくなった問題について、原子力規制委員会の更田豊志委員長は11月18日の定例会で「あってもらっては困る」と指摘し、検討会などで東電から説明を受けるよう求めました。
トラブルは、12日午前11時12分ごろ、排気ファンが全台停止となり、検出器による排気内の放射線監視ができなくなりました。原因は点検作業を行っていた協力会社社員が誤って排気ファンの緊急停止ボタンを押したため。午後1時すぎに排気ファンの起動操作を行い、午後2時30分検出器に異常がないことを確認しました。
問題のボタンにはふたがついており、近くに「緊急停止」と明記されていました。
東電は、排気中に含まれる放射性物質を監視することで溶け落ちた核燃料の状態を監視していますが、3時間にわたってそれができませんでした。東電はその間、空間線量や圧力容器底部の温度などに有意な変化はなかったとしています。
更田氏は会見で「なんでこんなことが起きるのか非常に不思議」と述べ、「まずは事実関係を聞いてみないと、手当てをどうするか検討が進まない」と話しました。
(「しんぶん赤旗」2020年11月19日より転載)