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汚染水問題 地下水の抜本策 急務・・オンラインで議論

 東京電力福島第1原発事故で発生する放射能汚染水問題をテーマに、第171回「ふくしま復興支援フォーラム」が10日、オンラインで開かれました。地質学の専門家が「今後も(原子炉建屋への)地下水の流入が続く限り、汚染水が増えていくという本質的な問題がある」と報告し、抜本的な地下水対策の必要性を強調。「削減が不十分なつけを、海洋放出に求めるべきではない」と、政府の姿勢を批判しました。

 同原発では現在、原子炉建屋に地下水や雨水が流入することで、溶融した核燃料に触れた高濃度の汚染水が1日当たり150トン規模で増加。政府は、タンクの敷地が足りないなどとして、処理後の汚染水を薄めて海に流すなどの処分方法を検討しています。

 「福島県原子力発電所の廃炉に関する安全監視協議会」専門委員の柴崎直明・福島大学教授(水文地質学)は、建屋上流側や建屋周辺の地下水くみ上げ、建屋周囲の土壌を凍らせて“壁”をつくる凍土遮水壁などの汚染水対策がとられてきたにもかかわらず、効果が十分発揮されていない現状を、データを使って詳しく解説しました。

 雨が多いと建屋内水位が上がるなど「(事故後)9年以上たってもコントロールされていない」現状のもと、政府・東電の汚染水対策の目標が“後退”していると批判しました。

 柴崎氏は、対策の不十分さの原因として、東電が地層を単純だと仮定している問題を指摘。自身が参加する研究会の独自調査で地層の複雑さが分かったと紹介し、それをもとに「次の手を打たねばならない」と述べました。

(「しんぶん赤旗」2020年11月12日より転載)