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なんだっけ 福島第1汚染水の海洋放出って?

福島第1原発の汚染水タンク群

 Q 東京電力福島第1原発事故の汚染水を海洋放出するって、どういうこと?

 A 高濃度汚染水を処理した後も、処理装置では除去できないトリチウム(3重水素)汚染水が、タンクに123万トン以上たまっています。政府はこれを国の放出基準未満まで薄めて海に放出する案を検討中。漁業者はじめ多くの国民から反対や懸念の声が高まるなか、10月中の正式決定は断念しました。しかし菅義偉首相は「いつまでも方針を決めず先送りすることはできない」(10月28日の国会答弁)という姿勢です。

 Q なぜ政府は急ぐの?

 A 東電の現行タンク計画は約137万トンで、今のペースで汚染水が増えると2年後に満杯になる計算。処分方法を決めても処分開始まで約2年かかるため、検討の時間はあまり残されていないという理屈です。

 例えば、漏えいリスクが高く使用しなくなったタンクの解体後のスペース(2万1000平方メートル)を活用すればプラス2年近くの余裕が生まれます。しかし政府・東電はタンク増設について、敷地内は廃炉作業に影響するため「限定的」、敷地外では調整や手続きが「難しい」などと理由をつけて後ろ向きの姿勢です。

 Q 他に方法はないの?

 A タンクでの保管継続のほか、砂やセメントと混ぜてモルタル固化する方法など提案されていますが、政府は“安上りで簡単”な海洋放出ありき、です。海洋放出は、風評被害など社会的な影響が大きいと指摘され、国民的な合意なく強行すれば将来に禍根を残します。他の選択肢を含めた丁寧な議論が必要です。

(「しんぶん赤旗」2020年11月2日より転載)