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15年までに各国削減目標、日本の逆行にNGO批判・・COP19が示したもの

国連気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)が11月11~23日、ポーランドの首都ワルシャワの国立競技場を会場にして開かれました。課題を残しながらも、最終的には全会一致(コンセンサス)によって合意文書を採択し、次のステップに進むことを確認しました。
(ワルシャワ=浅田信幸)

COP19は、▽2015年に温室効果ガス排出削減の新しい国際的枠組みで合意するための道筋を確定する▽20年の新枠組み発効までの期間の排出削減目標を底上げする・・という二つの大きな課題がありました。

地球温暖化対策では、気温上昇を産業革命前から2度以下に抑えることが国際的な合意になっています。国連気候変動政府間パネル(IPCC)が9月に発表した報告は、この2度目標の達成がますます厳しくなっており、排出削減が急がれることを強く警告したものでした。

「各国任せ」の困難

COP19では、新枠組み合意に向けて、各国が削減目標を含めた対策(貢献)を15年末までに提出することが決まりました。しかし、各国任せの貢献が適切かどうかを検証する仕組みは設けられませんでした。これは欧州連合(EU)などが強く求めていたものですが、経済成長を優先させ削減目標の義務化に反発する途上国の強い意見で見送られました。

20年までの目標底上げでは、最低でも1990年比で25~40%の削減が必要だとされていますが、これも現在、各国任せで提示されている目標水準ではこれに届きません。この課題で、COP19は各国に対策の改善を呼びかけるだけで、具体的な目標を設定できませんでした。

「目標引き上げの議論をしているときに、逆行している国がある、大変失望している」「先進国が対策を後退させているのに、なぜ途上国が対策を強化しなければならないのか」日本の非政府組織(NGO)の気候ネットワークが出した「ワルシャワ会議(COP19)結果速報」によると、安倍政権による05年比3・8%減(90年比3・1%増)という目標発表に対し、途上国からはこうした声が噴出したといいます。

日本の発表は議論の展開に水をさし、″先進国こそが率先して20年の排出削誠努力をすべきだ″という主張を強め、法的拘束力を持った温暖化防止策への途上国を含む「すべての国」の参加をいっそう困難にしたのです。

途上国新しい動き

日本のNGO「地球環境と大気汚染を考える全国市民会議」(CASA)は声明で、COP19は「その任務を果たせなかった」とし、「要因のひとつは、明らかに日本の増加目標である」と断じました。

他方で、途上国側の対応も単色では描けない新しい動きが現れています。「独立ラテンアメリカ・カリブ海諸国連合」(AILAC)がそれ。昨年(2012年)のCOP18(ドーハ)で結成され、コロンビア、コスタリカ、チリ、ペルー、グアテマラ、パナマの6カ国(これにドミニカ共和国が支持)で構成されます。

AILACは、「共通だが差異ある責任」は温暖化対策を遅らせるための原則でなく、それぞれの能力に応じて対策を進めるための原則だとし、途上国もやれることは自分たちでやるのだと主張します。

どちらかというと、いわゆる親米派政権の国々の連合ですが、CASAはその動きに注目し、「交渉のダイナミズムは特に途上国の中で大きく変化していると言える」と指摘しています。

いずれにせよ、温暖化防止のため温室効果ガス削減は待ったなしの課題。世界第3の経済力と、5位の排出量を持つ日本がまず後ろ向きの姿勢を改め、世界と人類の未来に責任を果たすことが求められています。

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