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石炭火力、数だけ縮小・・高効率型は維持・拡大”重要電源”扱い変えず

 梶山弘志経済産業相は7月3日の閣議後記者会見で、発電効率が低く二酸化炭素(C02)を多く排出する非効率な石炭火力について、2030年度に向けてフェードアウト(徐々に縮小)するための実効性ある新たな仕組みの導入を検討すると表明しました。一方で国内に26基ある高効率の石炭火力発電所については維持・拡充する方針です。高効率でも天然ガス火力より2倍のCO2を排出します。

 非効率の石炭火力発電所は国内に114基あり、このうち9割を占める100基程度が対象となる見通し。

 政府は18年に決定したエネルギー基本計画で「非効率な石炭火力(発電効率で「超臨界」以下)のフェードアウトに取り組んでいく」とし、それを促す措置を講じていくと明記していました。

 エネルギー基本計画では30年度までに総発電量に占める石炭火力の割合を26%にする目標を掲げ、すでに約32%(18年度)を占めています。

 梶山経産相は会見で、30年度の目標について「変わりない」とし、石炭や原子力を「重要なベースロード電源」と位置づけていることについても変える姿勢を示しませんでした。また、CO2を減らすには「原子力も選択肢の一つだ」と述べました。

 梶山経産相は「非効率の石炭火力の早期退出を誘導するための仕組みの創設」などを検討するよう指示したと述べました。経産省は月内にも本格的な検討に着手し、来年予定されるエネルギー基本計画の見直しに反映させたい考えです。

 梶山氏は、日本はエネルギー資源が乏しいことを理由に石炭火力を「放棄できるものではない」と強調しました。

全ての石炭火力やめて

 気候ネットワークの桃井貴子東京事務所長の話

 石炭火力の割合が維持される既定路線はそのままです。石炭をベースロード電源にするというところを見直すことも言及していません。その方針を変えない限りは、2030年までに脱石炭火力を目指すという世界の流れや、「パリ協定」(地球温暖化対策の国際的枠組み)が求めている水準からは、大変なかい離があります。

 新規の火力発電所の計画をやめるとか、2030年までに高効率を含めた全ての石炭を使った火力発電所はやめていくのが、本来パリ協定の目標に近づけるための道です。そこには踏み込めていません。

(「しんぶん赤旗」2020年7月4日より転載)